イチロー氏 WBC後のダルビッシュと再会、ハグした意味 「すごくうれしかった」言葉明かす

[ 2024年1月2日 07:32 ]

イチロー氏
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 マリナーズ会長付特別補佐兼インストラクターのイチロー氏(50)が12月31日放送のTBS「WBC2023 ザ・ファイナル」(後5・00)にVTR出演。昨年、日本代表が世界制覇した第5回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)について語った。

 2009年大会に出場し、苦しみ抜いて世界一に貢献したイチロー氏。「今回で言えば、2009年のWBCの僕の年齢と今回のダルの年齢が1つ違いくらいで」。自身は2009年当時、35歳で出場。今大会は当時を唯一知るダルビッシュ(パドレス)が代表最年長36歳で出場した。

 大会後にダルビッシュと再会した時の会話として、「ダルが言ってたのは、当時僕が言ってたことはあまり理解できなかったけれど、今すごく沁みるようになりました、みたいなことを。シアトルで会った時に言ってましたね。それはすごくうれしかった。具体的にはわからないんだけれど僕がどういう気持ちでチームを引っ張っていったとか、そういうニュアンスにもとれました」と明かした。

 2009年当時は「とにかく初日から僕が走る、投げる、打つ。まずここまで仕上げてきてるって見せつける。どれくらい僕がこの大会に想いを寄せているか。早い段階で見せつける。それをすれば、おそらく後輩たちはついてきてくれると思っていたし。その予定でいたんだけど、それはできなかった」。

 不調に陥り、なかなかプレーで引っ張れないもどかしさ。「僕の苦しみも目の当たりにしている。2009年の全体の重たい空気。最後ダル自身も同点のヒットを打たれて悔しい思いをしている。その選手が初日から参加して自分が引っ張るんだと気持ちを示してくれて。本人はなかなかうまくいかなかった、結果出せませんでしたって言っていたけれど、その気落ちが何よりは僕にとってはうれしかった」と語った。

 WBC後に再会し、ハグしたのは「感謝の気持ちです。そうしたくなる時ってたぶんお互いにそうなんですよ。やっぱり苦労して、乗り越えて輝かしい時間があった選手が苦しみを体験しているっていうのはなかなか味わい深い。そういう思いから」としみじみ。

 今大会、メジャーリーガーでは唯一合宿初日から参加し、代表の精神的支柱として世界制覇へ絶大な貢献を果たしたダルビッシュ。イチローのメッセージをじっと画面を見つめながら聞き入り「DNAっていうのももちろんあると思いますけれど、自分しか(優勝の)経験がなかったので。自分が行くことで当時こうだったよとか、先輩にこう言われたよとかいろんな引き出しがあるので。先輩方に教えていただいたものを今の人たちに伝えて。少しでも緊張がほぐれたり、勇気になったらいいなと思っていた。それが結果としてイチローさんの言うDNAを引き継いだんだという形になったならすごくうれしいです」とうなずいた。

 また、イチロー氏は米国戦に対して特別な思いがあったという。「日本野球にとって、アメリカに勝つことは、どの国に勝ってもアメリカに勝てなかったら一番になれない、みたいな意識はありましたから…」。どうしても日本人選手は下に見られがちで「個人に対しては結果を残せば違うけれど、それまでは相手にもしてくれない。現代ではなかなか表現しないだけで、それはある」と語った。これにはダルビッシュも「ありますね。すごく感じるんです、自分もまだ。アメリカに勝たないとっていうのは自分もありました」と共感していた。

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