阪神1位・下村 「防御率」こだわる「点を取られなければ負けない」村上に弟子入り熱望 指名あいさつ

[ 2023年10月28日 05:15 ]

阪神の吉野スカウト(左)から岡田監督サイン入りドラフト会場パスを手渡された下村(撮影・岸 良祐)
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 26日に開催されたプロ野球の新人選択会議(ドラフト会議)から一夜明けた27日、各球団は恒例の指名あいさつを行った。阪神からドラフト1位指名を受けた青学大・下村海翔投手(21)は神奈川県内で畑山俊二統括スカウト、宮脇則昭編成ディレクター、担当の吉野誠スカウトからあいさつを受けた。プロの世界では「防御率」へのこだわりを宣言。「村上2世」と期待される金の卵が球団では07年の上園以来となる1年目での新人王を狙う。

 ドラフト会議から一夜明け、下村にメッセージが届いた。日本シリーズを翌日に控えていたため岡田監督との初対面はお預け。代わりに畑山統括スカウトが指揮官から託された伝言を明かした。

 「(岡田監督が)くれぐれも(下村選手に)よろしくお伝えくださいと」

 26日の指名直後に行われた記者会見で最速155キロ右腕は目標とする選手に阪神・村上の名前を挙げていた。身長も1センチ違いと、指揮官も「似ている」と話すなど「村上2世」との呼び声高い逸材。「村上さんには、どういう意識で練習に取り組んでいるかなどを聞きたい」と早くも弟子入りを熱望した。

 「ピッチャーが点を取られなければ試合は負けない」

 すでに村上の“フォロワー化”している金の卵は、防御率に強いこだわりを持つ。当然ながら0点に近ければ近いほど勝てる確率は上がるからだ。常にこの考えを念頭に置き、戦国東都といわれるリーグで通算7勝を挙げた。今年の春、秋のリーグ戦では連覇に貢献した。

 目標とする本家の村上はプロ3年目の今季、防御率1・75で最優秀防御率のタイトルを初獲得した。チームの原動力としてリーグ優勝をけん引。そのたくましい姿を追いかける。当然、村上が先発する日本シリーズ第1戦もテレビでチェックする。兵庫県西宮市出身であり熱狂的な虎党。「小学生と中学生は連合体育大会を甲子園球場でやった。でも、グラウンドには立ったことがない。野球できるのが凄い楽しみです」。球団1年目で最優秀防御率のタイトルを獲得すれば59年の村山実以来。あとは自らの力で道を切り開くだけだ。(石崎 祥平)

 ○…阪神の新人王は現時点で16年の高山まで8人が受賞。投手では55年西村一孔、94年藪恵市、07年上園啓史の3人が1年目で受賞している。なお今季は発表前だが、3年目投手の村上が有力候補に挙がっている。

 ○…阪神投手の最優秀防御率は、今季の村上まで14人が18度獲得。新人では59年の村山実だけ。ドラフト制以降はいない。プロ野球で新人の最優秀防御率は99年の上原浩治(巨)まで12人で、村山を除く11人が新人王とのW受賞。村山は投票で新人記録31本塁打の桑田武(大洋)に敗れ、新人王を逃している。

 ◇下村 海翔(しもむら・かいと)2002年(平14)3月27日生まれ、兵庫県西宮市出身の21歳。小3から野球を始め、甲武中時代は宝塚ボーイズに所属。九州国際大付では1年秋からベンチ入りも甲子園出場なし。青学大では1年秋からリーグ戦に登板。最速155キロ。50メートル走6秒0、遠投120メートル。1メートル74、73キロ。右投げ右打ち。

≪精神面を高評価≫ ○…青学大入学時から下村に熱視線を送っていた担当の吉野誠スカウトは「タフさも持っている。負けず嫌いというか、ピンチでも抑えてやろうという場面ではポーカーフェースですけど、内面の熱いものは感じています」と精神面も高評価した。最速155キロに加え多彩な変化球を操る期待の右腕に「右打者の懐(内角)をうまく使っていくとか、(チームには)村上も西勇も懐に投げられるタイプの投手が多い。その辺を学んでもらえれば(投球の)幅はもっと広がるかな」と、今後の伸びしろにも期待を寄せた。

≪オリ・宮城に熱視線≫ ○…下村は、28日に開幕する日本シリーズでは阪神だけでなく対戦相手のオリックス・宮城、杉本も注視する。宮城とは同学年で高校時代は下村が九州国際大付(福岡)で宮城が興南(沖縄)出身ということもあり九州大会で顔を合わすことがあったという。宮城は今年3月の第5回WBCで侍ジャパン入りするなど同世代の出世頭だが「凄い選手。少しでも早く追いつけるように頑張りたい」と意気込んだ。一方、杉本は青学大の11歳上の先輩。対戦を熱望し「カーブで翻弄(ほんろう)したい」と、遅球で打ち取るイメージを思い描いた。

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