能見篤史氏 左足に体重が乗り切れていない阪神・才木、調子良くない中で試合をつくった経験は必ず生きる

[ 2023年7月3日 07:00 ]

セ・リーグ   阪神2ー2巨人 ( 2023年7月2日    東京D )

スポニチ評論家・能見篤史氏
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 【能見篤史 視点】阪神先発の才木は決して調子がいいわけではなかった。ここ数試合ずっと、真っすぐの力強さが少し足りない。初回、先頭打者のブリンソンに初球を被弾されたのも、4回先頭の秋広の右中間へのソロも、いずれも外角の真っすぐ。飛距離が出やすい東京ドームだとしてもスタンドまで運ばれたことを見て、100%の状態ではないなと感じた。

 踏み出す左足に体重が乗り切れていない。重心が後ろに残っているので、リリースポイントも早めで、位置も前の方(捕手寄り)ではなくなっている。球速はブリンソンに打たれたのが149キロ、秋広は150キロを計測しながらも、真っすぐに力強さを感じないのはそのためだ。

 それでも5回2失点と試合はつくれている。1年後、2年後にはエース格としてチームの中心にいないといけない投手。疲労もあるだろうし、調子が良くないときもあるだろうが、1年間ローテーションで回るならこの日のような経験は必ず生きてくる。

 試合は引き分けで、このカードは1勝1敗1分け。特にこの試合は阪神・岡田監督と、巨人・原監督の采配、駆け引きが興味深かった。両指揮官とも、まだペナントレース中盤という、どっしりとした戦いぶり。お互いに探り合っているという感じか。将棋のように相手の打つ手に対して受ける、スキを見つけたら攻める。両軍ほとんどの選手を使い切ったが延長12回では決着がつかなかった。これが8月、9月の戦いなら、早い仕掛けや一気呵成(かせい)の選手起用が見られるのだろう。(本紙評論家)

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