スタンドもどよめいた!? 楽天・石井監督の執念采配 4回1死二、三塁、1ボールから動いた

[ 2023年5月12日 05:20 ]

パ・リーグ   楽天7-3オリックス ( 2023年5月11日    楽天モバイル )

<楽・オ>4回、小深田の代打で打席に立つ西川(撮影・光山 貴大)
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 【追球ズーム ここにFOCUS】楽天・石井監督の執念の勝負手が連敗を3で止めた。1―0の4回1死一、三塁。小深田が初球に偽装スクイズを仕掛け、一塁走者の山崎が二盗を成功させた。二、三塁となったところで、同じ左打ちの代打・西川がコールされるとスタンドからどよめきが起きた。

 「1ボールから打席が始まることがないですからね。ああなったら経験とか技術じゃない。気持ちだけ」

 1ボールの状況で送られた西川は「監督のひらめきじゃないですか」と笑いつつ、課された役割はしっかり頭に入っていた。追い込まれながらもフルカウントから内角低めのスライダーを見極めて四球を選び「ヒットを打って走者を還すことが理想だったけど、追い込まれたので何とか四球で」とチャンスを広げ、続く渡辺佳の2点適時打へとつなげた。

 指揮官は「スクイズを含めていろんなサイン、選択肢がある場面」とした上で、「点がどんどん欲しい場面。二、三塁になって、2点は欲しかったので」と続けた。1点に終わる手ではなく、それ以上を取りにいく。この日の小深田は三邪飛、空振り三振と精彩を欠いていた。打席の途中ではあったが、バットコンタクトと選球眼にたけた西川に思い切って代えたことで貴重な追加点が生まれた。

 負ければチームの借金は今季最多の8になっていた。総得点94は依然としてリーグワーストで、開幕から深刻な得点力不足に悩まされている。セオリーにとらわれず、なりふり構わず点を奪いにいく。強いメッセージが込められた執念の采配が実った勝利だった。(重光 晋太郎)

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