日本ハム チーム根付く「伝統」の力 浮上へ、アピールへ、全力疾走の重要性

[ 2022年7月21日 14:00 ]

早出特打する清宮を見る新庄監督(右)と稲葉GM(2022年04月05日撮影)
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 日本ハムには全力疾走の伝統が根付いている。象徴的なのが、稲葉篤紀GMの現役時代の全力疾走だ。新庄剛志監督も「守備位置までいいステップでポン、ポン、ポンって美しい走り方を1年間やり続ければ何本走れますかってこと。俺はここ(攻守交代)でトレーニングをする意識でやっていた」と話している。

 北海道移転後初優勝も全力疾走で勝ち取った。06年10月12日のソフトバンクとのプレーオフ第2ステージ第2戦(札幌ドーム)。0―0で迎えた9回2死一、二塁、稲葉の二塁内野安打で二塁走者・森本が一気に本塁生還し、サヨナラ勝ちした。稲葉、森本だけでなく、一塁走者・小笠原も二塁ベース付近の打球に全力疾走で二塁封殺を阻止。二塁封殺を狙った相手内野陣の隙を突いて森本が三塁を回って生還したのだ。稲葉GMもことあるごとにこのプレーを挙げ、全力疾走がチームに根付いた原点として語っている。

 新庄監督の左大腿部には今でも筋が切れた後のくぼみがある。メッツ時代の01年、ヤンキースとのサブウエーシリーズで併殺阻止のために一塁へ足から滑り込んだ際の代償だ。この激走は「サムライ・スプリント」と語り継がれるほどだ。指揮官となった今は選手に全力疾走を強制こそしていないというが「よそのチームと比べてうちが一番やっていますよ。そんなに言っていなくてもやるって凄くないですか?」と選手に根付いていることに驚く。

 チームは新庄監督やエース左腕・加藤ら選手、首脳陣が新型コロナウイルスの陽性判定を受け、大量離脱。さらにエース右腕・上沢、打率リーグトップの松本剛を故障で欠いて苦境に陥っている。チームへのダメージは計り知れないが、若手選手にとってはチャンス。1軍生き残りを懸けた全力プレーでファンに希望を与えてもらいたい。
(記者コラム・東尾 洋樹)

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