広島・磯村 プロ初満塁アーチで延長戦制し3位タイ浮上導いた「初球から来た球を全部打つつもりでいった」

[ 2022年7月16日 04:45 ]

セ・リーグ   広島6-3巨人 ( 2022年7月15日    東京D )

11回、勝ち越し満塁本塁打を放った磯村(中央)を迎える広島ナイン(撮影・河野 光希)
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 広島・磯村嘉孝捕手(29)が15日の巨人戦で、同点の延長11回に決勝の2号満塁弾を決めた。今季2号はプロ12年目で初となる満弾。秋山翔吾外野手(34)が先制の1号2ランを放つも逃げ切れず、延長に突入した一戦で連敗を阻止。阪神と同率での3位に再浮上し、2位・巨人とは0・5ゲーム差に接近した。

 ヒーローは遅れてやってくる。同点の延長11回。9回の守備から途中出場した磯村に、2死満塁の絶好機で1打席目が回ってきた。

 「初球から来た球を全部打つつもりでいった」

 7番手・菊地が投じた初球のスライダーは、真ん中付近に入ってきた。思い切り振り切ると、完璧な手応えから「よっしゃ!」と叫んで左拳を突き上げた。しかし、内心は「やばいかも…」と柵越えを信じ切れずに全力疾走。左中間席への着弾を見届け、胸をなで下ろすように拳を握り直した。

 「あんなにベンチが(盛り上がって)迎えてくれることはなかったので、すごくうれしかった。この展開まで来て、最後に駄目だったら嫌だな…と思いながら打席に入ったけど、打席の中で割り切れたので、ああいう結果になったと思います」

 「右の代打」としても重用されるなど、19年には打率・278(108打数30安打)と上々の成績を残した。その高い打力を生かすべく、20年シーズンから一塁に挑戦した時期もあった。現在は、再び捕手一本で勝負する。ただし、正捕手の会沢を筆頭に、坂倉、中村奨ら若手捕手が台頭し、決して優先的に出番が回ってくるわけではない。実際、今季は5月下旬から約1カ月間の2軍暮らしも経験した。それでも、集中力を切らさずに準備した結果、最高の場面での一発につながった。

 「こうして試合途中の緊迫した場面で出ることもあるので、無失点に抑えることが最優先。その結果、今日みたいに打席が回ったときに走者を還したり、チャンスメークしたりすることを心がけて、最低限の仕事はしたいな…という思いで常に頑張っています」

 巨人戦の延長回での満弾はセ・リーグ史上4本目で、佐々岡監督が「本塁打は、まさか」と驚くのも当然だった。秋山が放った移籍後1号の鮮烈な印象を塗り替え、堂々と主役を奪った。(河合 洋介)

 《巨人戦初の延長満弾》広島打者の延長満塁弾は
年  打者  位置 月・日 相手
97 江藤 智 内  9・27 横浜
04 緒方孝市 外  10・1 中日
08 シーボル 内  7・27 横浜
16 新井貴浩 内  8・27 中日
22 磯村嘉孝 捕  7・15 巨人
と5人目で巨人戦及び捕手では初。また、2リーグ制後、巨人戦での延長満塁弾は03年7月18日の小田嶋正邦(横浜)、06年10月10日のウッズ(中)、19年5月29日の高山俊(神)に次ぎ4人目。

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