マジック点灯のロッテ・井口監督 70年に優勝、濃人監督との“不思議な共通点”

[ 2021年10月15日 05:30 ]

パ・リーグ   ロッテ6ー1オリックス ( 2021年10月14日    京セラD )

<オ・ロ>オリックスに勝利しマジック点灯、でナインを迎えるロッテの井口監督(中央)=撮影・後藤 正志
Photo By スポニチ

 1シーズン制では1970年以来、実に51年ぶりに優勝マジックを点灯させたロッテ。当時に指揮を執り、同年にチームを頂点まで導いたのが濃人渉監督だ。当時としては珍しいメジャー流の采配や若手の積極起用など、現在の井口監督とはいくつもの共通点がある。半世紀以上の時を経て、2人の指揮官にスポットが当たった。

 頼もしげな表情でナインと勝利のハイタッチを交わした。1シーズン制では51年ぶりとなる優勝マジック点灯。井口監督は「試合数とほぼ変わらないのでね、あんまり意識していないですけど残り10試合ですかね、いい戦いができればと思っています」と浮かれることはなかった。

 これも長い球史の巡り合わせなのか…。前回点灯の70年に指揮を執っていた濃人渉監督と井口監督には共通点が多い。濃人監督は選手としては、広陵中時代から強肩の名遊撃手と評判で、井口監督も青学大からプロ入り時は強肩強打の遊撃手。ともにアマ時代から守備力に定評があった。

 さらにメジャーという点でも、濃人監督は63年秋に東京オリオンズのヘッドコーチへ招かれる前、メジャーを視察。コーチ修業をしている。井口監督はダイエー(現ソフトバンク)から05年に大リーグ・ホワイトソックスへ移籍。1年目から二塁手で活躍し、ポストシーズンでもチームに貢献しワールドシリーズを制覇した。

 采配面では濃人監督は就任2年目の69年に入団した有藤をルーキーながらレギュラー抜てきし、70年優勝の原動力となるまでに育成。井口監督も今季は安田、藤原、山口ら若手を積極的にスタメン起用するなどしてチームを活性化させている。補強面も70年はシーズン途中でセの首位打者経験者でもあった江藤慎一をトレードで獲得。今季も松本尚樹球団本部長と常に意思疎通を図り、加藤、国吉、小窪らをタイミング良く補強して躍進につなげている。

 70年は52試合連続試合得点を記録するなど総得点はリーグ1位(打率も1位)。今季のロッテも総得点はリーグトップだ。2人の指揮官の不思議な共通点。そこに「優勝」という項目も加える。

 ◇濃人 渉(のうにん・わたる)広島市出身。広陵中から広島専売局を経て1936年(昭11)のプロ野球のリーグ戦創設とともに金鯱軍に入団。戦後は国民野球結城ブレーブス、金星とわたり、49年に社会人野球・日鉄二瀬監督。江藤慎一氏(元中日)、古葉竹識氏(元広島)らを育成。60年に中日2軍監督、翌61年に1軍監督に就任。64年から東京オリオンズ(現ロッテ)のヘッドコーチで67年途中から監督。70年にリーグ優勝。同年に退任、その後スカウトなど歴任。90年に結腸がんで75歳で死去。

続きを表示

この記事のフォト

2021年10月15日のニュース