13日昇格の伏兵が大仕事 阪神・板山が決勝適時二塁打「最高にうれしい」亜大後輩高橋の好投に応えた

[ 2021年10月15日 05:30 ]

セ・リーグ   阪神3ー0巨人 ( 2021年10月14日    東京D )

<巨・神>ファンの声援に手を振る板山(撮影・平嶋 理子)
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 阪神は14日の巨人戦に3―0で勝利し、中日と引き分けた首位・ヤクルトに2ゲーム差に迫った。0―0の9回2死一、二塁で、7回から途中出場した板山祐太郎外野手(27)が均衡を破る右越え適時二塁打。5月23日に2軍落ちし、前日13日に昇格したばかりの伏兵が、自身5年ぶり2度目の決勝打でわずかに残る優勝への希望を残した。 

 いつぶりのヒーローだろうか。板山はあふれる思いを、お立ち台から一言で表した。「最高にうれしいです!!」。殊勲者の叫びに、敵地に詰めかけた虎党は拍手喝采となった。

 「遥人(高橋)が頑張って投げていたので、なんとか捨て身でというか、気持ちで食らいついていくことしか考えていなかった」

 7回に代走で途中出場してそのまま左翼に就くと、9回2死一、二塁で打席が回った。ビエイラ相手に初球から2球連続で仕掛けるも、ファウルで2ストライクとなった。あと1球…。だが、土俵際でも、攻めの姿勢を貫いた。3球目、甘く入った145キロスライダーを一閃(いっせん)。右翼手の頭上を瞬く間に越えていったライナー性の打球が、右翼フェンス最上部に直撃した。16年5月6日ヤクルト戦以来、5年ぶりの決勝打。亜大の2学年後輩にあたる高橋の好投に報いた。

 代打の切り札である糸井や原口、3戦ぶりにベンチ入りした大山が残る中、矢野監督から試合を左右する打席を与えられた。「2軍を引っ張るというか、そういう姿勢でやってくれているのは聞いている。板山にそういう打席があっていいんじゃないかなって」。18年の2軍監督時代には4番も任された。改めて寄せられた信頼の2文字に、最高の結果で応えてみせた。

 5月23日に登録を抹消されてから5カ月間の2軍調整が続き、前日に再昇格したばかり。アピールの機会が訪れずとも、腐ることはなかった。遠征先のホテルでは「限られた場所でもあれならできると思って」とバドミントンの羽根を自費で購入し、駐車場で打撃練習。「緩い羽根なので多少の変化もするし、しっかり引きつけて強いスイングしないと飛ばないんで」。バットを握り続けた成果を、最終盤の勝負どころで発揮した。

 「苦しいときもあったけど、諦めたら終わりだと思って、日々支えてくれる人に恩返しのためと毎日やっていた。この大事なところで打てて良かった」

 前日の坂本に続いて“伏兵”が躍動し、ヤクルトとのゲーム差は2に縮まった。「誰ひとり諦めている人間はいないので。チーム一丸で頑張る」。猛虎全員の力を総動員し、残り8試合を戦い抜く。(阪井 日向)

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2021年10月15日のニュース