広島・林6号 母校・智弁和歌山からパワー「自分も負けてられないな…と思って必死に頑張った」

[ 2021年8月29日 05:30 ]

セ・リーグ   広島7ー6阪神 ( 2021年8月28日    マツダ )

<広・神>6回1死一塁、2ラン本塁打を放ちナインとタッチをかわす林(撮影・大森 寛明)
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 広島・林晃汰内野手(20)は28日の阪神戦で、1点差に迫られた6回に6号2ランを放って1点差勝利の立役者となった。母校の智弁和歌山は29日に智弁学園と夏の甲子園決勝を戦う。後輩へのエールとなる一打は、不振脱出を期す自身11試合ぶりの一発。3連勝となり、ヤクルトに引き分けたDeNAと同率5位で並んだ。

 智弁和歌山のOBは、こんなにも頼もしい。1点差に迫られた直後の6回1死一塁。林は、1ボールからの小川のカットボールを振り抜き、すさまじい打球音を鳴らした。一直線で右中間席まで届き、11試合41打席ぶりの一発となる6号2ランとなった。

 「真っすぐ系が来ると思っていた。それを一発ではじき返せたのは良かった」

 母校の智弁和歌山は、試合前に行われた近江との一戦に勝利して夏の甲子園決勝に進出した。林が3年生だった18年夏は甲子園1回戦で敗退。その初戦の相手が近江で、林は1点劣勢の5回1死一、三塁でチャンステーマ「ジョックロック」が流れる中で空振り三振に倒れた。涙をのんだその一戦を忘れてはいない。

 「(決勝進出に)自分も負けてられないな…と思って必死に頑張った。(智弁学園との)智弁対決なので、和歌山が勝って、僕も勢いに乗りたいです」

 母校は、和歌山出身の野球少年の中で憧れの存在だった。同校の高嶋仁名誉監督は長距離砲を好むことでも知られていた。それでも、林が強豪進学のために野球をすることはなかった。「僕は智弁に行きたくて長打を磨いたわけではない。中学のときは、ただ野球が楽しくて、もっと本塁打を打ってみたいという気持ちだけで練習していた」。高校進学後、高嶋監督からは「積極的に行けよ」とだけ言われ続けた。そして、この日の2安打は、いずれも第1ストライクを捉えて生まれた。

 後半戦は試合前まで42打数7安打、打率・167と不調に陥った。6番だった打順は3試合連続で8番にまで降格。鈴木誠からは「初球から振れないときは、調子が悪くなるとき」と助言された。そして、高校時代から求め続けていた持ち前の積極性を取り戻した。

 「今まで振りに行こうと思っても振りに行けなかったことが多かった。振れる形を見つめ直してできたかなと思います。結果を残さないと出られない。1試合1試合、覚悟して臨むようにしています」。悩んだ時間も立派な成長材料になっている。(河合 洋介)

 ▼広島・佐々岡監督(林について)3割を切って8番まで下げたけど、その中でもしっかりとやれることをやっている。打てなければ代えられるという危機感を持った中で、今日の一発は彼にとっても大きいと思う。

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