阪神・青柳 もはや村山実の域!先発8連勝でセ単独トップ10勝 ドラ5から虎史上最高の「立身出世」

[ 2021年8月25日 05:30 ]

セ・リーグ   阪神8ー2DeNA ( 2021年8月24日    京セラD )

<神・D(19)> ヒーローインタビューを終え、ファンに手を振る阪神・青柳 (撮影・後藤 大輝)
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 阪神は24日、DeNA戦に8対2で快勝し2連勝とした。先発した青柳晃洋投手(27)が7回2失点の好投で自身初の10勝目をマーク。ドラフト5位以下の入団では球団史上初となる2桁勝利を達成した。勝利数、防御率、勝率でリーグトップに立つ“3冠”右腕がエース級の働きを見せ、チームも再加速へ弾みをつけた。

 通過点の1勝が、球団史に名を刻んだ。ドラフト5位以下では史上初の10勝投手となった青柳は、お立ち台から、次代の選手へ言葉を投げかけた。

 「順位関係なく頑張れば活躍できるというのを、これからプロに入る選手に見てもらえればと思います」

 プロ入りから磨いてきた技術、克服した弱点…右腕の6年の歩みを、体現する投球だった。本調子でなくても強みのゴロ凡打量産のスタイルを最後まで貫き、7回まで2失点。昨年まで相性が悪かった左打者6人を並べたDeNA打線を見下ろした。3回2死一塁では苦手な技術としてずっと向上に努めてきた一塁けん制で刺して、アウトをもぎ取った。同じ3回、浜口の投ゴロでは近距離でもいつも通りのワンバウンド送球で確実にアウト。場内からどよめきが起こったが、“青柳スタイル”を堪能させた。

 時に助言を送り、成長を見守ってきた矢野監督も「うまい選手ではないけど、努力できる選手。悔しさをバネにはい上がっていける選手。けん制も昔は得意じゃなかった。できるということを証明してくれてる」と称賛。地力がにじむ白星だ。

 東京五輪の決勝戦を制した直後に臨んだ表彰式。金色の景色の先には、まだ見ぬ頂点が見えた。「隣に柳田さんと甲斐さんがいて“日本一よりうれしい”と話していたんですが、(岩崎と)“僕たちは何も言えないですね”と言い合っていました」。世界一の高揚に隠れていたもう一つの高みへの渇望。背番号50の中で新たな戦いはその瞬間から始まっていた。

 五輪では中継ぎ起用。「チームに戻ってちゃんと先発で投げられるか不安」と珍しく弱音を口にしたものの、後半戦も2戦2勝で5月14日の巨人戦から先発8連勝。球団では03年の井川慶以来で、右投手に限れば68年村山実の11連勝以来、53年ぶりの快挙となった。

 勝利数、防御率、勝率でリーグトップの“3冠”となった右腕。口をついて出たのはチームのこと、そして仲間への感謝だ。

 「チームが勝っている結果、勝利がついたり。防御率も梅野さんとの共同作業。チームが優勝できるように、それに貢献できるように。13勝が目標。通過点なんでまた来週から頑張っていきたい」

 はい上がってきたからこそ、もっと上を見ている。(遠藤 礼)

 ○…青柳(神)が自身初の10勝目。15年のドラフト5位指名からプロ6年目の到達で、ドラフト制以降(66年~)に入団した阪神生え抜き投手では24人目。指名順位では94年川尻哲郎と09年秋山の4位を更新する最も低い順位での到達となった。高橋(巨)、秋山(神)を抜いて今季初の単独最多勝。10勝リーグ一番乗りは、チームでは15年の藤浪以来6年ぶり。

 ○…5月14日の巨人戦から8連勝。阪神投手の8連勝は10年能見のシーズン無傷8勝以来だが、救援勝利1勝を含むもの。先発勝利のみでは03年井川慶の12連勝以来18年ぶり。右腕の先発勝利に限れば68年村山実の11連勝以来53年ぶりだ。

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