帯広農が19点大勝で39年ぶり甲子園 「なつぞら」モデル校が「再甲」果たした

[ 2021年7月26日 05:30 ]

全国高校野球選手権北北海道大会決勝   帯広農19ー2帯広大谷 ( 2021年7月25日    旭川スタルヒン )

<帯広農・帯広大谷>笑顔で記念写真に納まる帯広農(撮影・高橋茂夫)
Photo By スポニチ

 帯広農が同じ十勝支部でしのぎを削る帯広大谷を破り、82年以来39年ぶり2度目の優勝を果たした。昨春は21世紀枠でセンバツに選出されたが、コロナ禍で大会中止。前田康晴監督(45)は「昨年夏の(甲子園)交流試合を経験したが、記録には残らない。もちろん試合ができたことには感謝しているが、北北海道でチャンピオンになって(甲子園に)行こうと…」と、苦しかった日々を思い返して声を詰まらせた。北北海道制覇でチーム目標の「再甲」(さいこう)を実現した。

 大量22安打19得点。24日の準決勝(対滝川西)に続く2戦連続の先発全員安打&先発全員得点、この日は先発全員打点も達成し、北北海道大会の決勝最多得点(15点=70年北見柏陽)を更新した。

 打順が二回り目に入った3回から4イニング連続得点でたたみかけた。特に6回は打者12人で3本の二塁打を含む6安打で一挙8得点を奪った。「練習してきたつなぐ打撃ができた」。そう話す佐伯柊主将(3年)ら昨夏甲子園交流試合経験者を中心に徹底してきた、バットを水平に出してのライナー性の打球が野手の間を抜いた。

 チームは今夏に懸けていた。地元帯広から肩甲骨や股関節を柔らかくするトレーニングマシン3台とバッティングマシンを旭川市の宿舎に持ち込んだ。宿舎そばの信用金庫は、素振りのスペースを提供。整骨院を営む前田監督の教え子も駆けつけた。

 普段により近い環境を整え、「これで駄目なら仕方ない」と覚悟を決めて臨んだ北北海道大会。1年生ながら4試合中3試合に先発出場し、この日4打点の干場雄心は「交流試合に勝ったのはテレビで見ていた。思い切ってやることをを心がけた。初球から振ることができた」と達成感を口にした。昨夏の経験者に新戦力も加わった今夏のチーム打率は・425。瓶に入った昨夏の甲子園の土を自室の一番目立つ場所に飾り、一年間自らを鼓舞してきた佐伯主将は「(昨夏から)やっている間は長かったが、今思えばあっという間でした」と笑った。

 19年のNHK連続テレビ小説「なつぞら」で広瀬すず演じる主人公らが通った「十勝農」のモデル校が、再び夏の聖地に立つ。昨夏は高崎健康福祉大高崎(群馬)に勝利してもなかった“次”が、今年はある。「交流試合は1勝だったので、次は2勝」と佐伯主将。2021年夏、記憶、そして記録にも残る聖地での戦いが始まる。

続きを表示

この記事のフォト

2021年7月26日のニュース