森繁和氏 普通の投手なら速い153キロ、しかし大谷は普通の存在ではない

[ 2021年5月21日 02:30 ]

試合後にオンライン会見に応じる大谷
Photo By スポニチ

 【森繁和 視点】エンゼルスの大谷翔平投手(26)が19日(日本時間20日)、本拠地アナハイムでのインディアンス戦に「2番・投手」で出場し、4回2/3を投げ5安打2失点、5奪三振で今季2勝目はならなかった。チームも2-3で敗れた。降板後は右翼に回る「三刀流」で、打っては3打数1安打。7回の守備から交代した。チームで唯一、今季の全42試合に出場中。直球は最速95マイル(約153キロ)にとどまりた。スポニチ本紙評論家の森繁和氏(66)が見たリアル二刀流の難しさとは――。

 驚いた。直球をはじめ全ての球種が5マイル(約8キロ)くらいは遅い。4回無死二塁では明らかにギアを上げたが、それでも95マイル(約153キロ)。普通の投手なら、もちろん速い。しかし、大谷は普通の存在ではない。18年の右肘手術の影響か、慢性的な疲労か。二刀流の調整の難しさが表れたと思う。

 腕の振りも鈍く、直球は走らない。変化球も高めに抜けていたが、球審が高めのゾーンをストライクに取ってくれた。本来ならスプリットは鋭く落ちて、ワンバウンドでも振らせるのが大谷だ。今季はここまで全試合に出場。疲労と戦いながら、限られた時間の中でブルペン投球、走り込みなどのメニューをいかに消化するか。二刀流の宿命とも言える。

 当初の登板予定から1日延ばしてのマウンド。何とかまとめようと苦心しているのは伝わってきたが、本来の姿とはほど遠かった。指にかかって噴き上がるような直球がよみがえるか。次回登板が非常に大事になる。(スポニチ本紙評論家)

続きを表示

2021年5月21日のニュース