巨人、ドミニカ出身16歳2人と育成契約へ 金の卵をメジャー流補強

[ 2021年2月14日 03:00 ]

巨人の宮崎キャンプ、練習を見つめる原監督(撮影・木村 揚輔)
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 巨人が、ドミニカ共和国出身の16歳の2選手と育成契約を結ぶ方針を固めたことが13日、分かった。金の卵はホセ・デラクルーズ内野手とフリアン・ティマ外野手の2人。野球だけでなく勉学や日本文化の教育を施して育成する方針だ。大リーグでは同国出身選手が10代で契約し、後に活躍するケースが大半。メジャー式の新育成策に積極的に着手する。

 育成契約の背景には、ドミニカ共和国での編成強化策がある。幾多のメジャーリーガーを輩出している野球大国。昨年2月、山口寿一オーナーは「ドミニカ(共和国)のことはうちも研究をしないといけない」と掲げていた。

 内野手のデラクルーズと、外野手のティマは、共に同国の「私設アカデミー」に在籍する16歳。過去のトライアウトで目にとまった逸材だった。同国では貧困と格差にさいなまれる社会の中で、10代の少年が野球場と寮を兼ね備えた施設で鍛錬を重ねる。サマーリーグを戦う選手は15~17歳が中心で、プロ契約をつかむ野心を持つ。

 近く育成契約を結ぶ方針の金の卵は、ジャパニーズドリームを夢見る。日本では高校1年生にあたるが、潜在能力は抜群。来日後は野球の技術だけでなく、日本の言語、文化など教育プログラムを提供して人間形成を行うという。若年期から日本人と同じ生活を送ることで、数年後には日本人と同程度のコミュニケーションを取ることが可能なドミニカン育成を目指す。

 メジャーでは中南米から10代選手を「青田買い」して教育を施して育成するケースは一般的で、成功例が多い。88年にはペドロ・マルティネスが16歳でドジャースとマイナー契約。4年後にレッズ戦でメジャーデビューし、通算219勝を積み重ねた。大リーグ通算3166安打のエイドリアン・ベルトレは94年に15歳でドジャースと契約を結んだ。

 「全権監督」の原監督が編成権も担う巨人は、昨秋のドラフトでドラフト史上最多の19選手(支配下7選手、育成12選手)を指名した。大塚淳弘球団副代表編成本部長は「発掘と育成の元年。3年後、4年後のドラフト1位を育成で指名した」と説明。球団は近年、育成に舵(かじ)を切り、昨季は12球団最多の5人を育成から支配下に昇格させた。

 今季は日本人の枠を超え、外国人選手の育成強化策に乗り出す。球団では08年に台湾出身の15歳左腕・李イーフォンと育成契約を結んだ前例こそあるが、10代の中南米選手との契約は史上初。才能ある若いドミニカンを日本の育成環境下に置き、過去に類を見ない外国人選手をつくりあげる。

 ◆ホセ・デラクルーズ 2004年7月29日生まれ、ドミニカ共和国出身の16歳。内野手。1メートル82、76キロ。右投げ右打ち。

 ◆フリアン・ティマ 2004年9月25日生まれ、ドミニカ共和国出身の16歳。外野手。1メートル93、86キロ。右投げ右打ち。

 《MLBの獲得年齢制限、ドラフト対象外は16歳以上》大リーグでは、ドラフト対象外の選手を獲得できる年齢は16歳以上となっている。84年にブルージェイズが、ドミニカ共和国出身のジミー・ケリー内野手と史上最年少の13歳で契約し以後、年齢制限が定められた。94年にドジャースが15歳のエイドリアン・ベルトレ内野手を16歳と偽って契約、99年に事実が発覚し大問題となった。

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