佐藤輝は本物だ!デビュー戦で一発を含む3安打3打点 阪神を、球界を変える男が現れた

[ 2021年2月10日 05:30 ]

練習試合   阪神8ー5日本ハム ( 2021年2月9日    宜野座球場 )

<神・日>5回、右越えに逆転の2点本塁打を放つ佐藤輝(撮影・成瀬 徹)       
Photo By スポニチ

 阪神のドラフト1位・佐藤輝明内野手(21=近大)が9日、衝撃の対外試合デビューを飾った。沖縄宜野座キャンプ第2クール最終日に組まれた日本ハムとの練習試合に「2番・左翼」で出場し、“プロ1号”を含む3安打。5回は右翼ポール際へ一時逆転の2ラン、7回は右翼線への決勝二塁打を放って勝負強さも示し、輝ける未来を予感させた。

 黄金ルーキーは、やはり何かを持っている。対外試合のデビュー戦で初アーチを含む3安打、そして、決勝打。新人離れした千両役者ぶりを佐藤輝は控えめに振り返った。

 「(本塁打は)スライダーに反応して、しっかりと運ぶことができた。飛距離は十分かなと。後は切れるか切れないか。切れなかったので良かった」

 初回1死で迎えた初打席はフルカウントから西村のスライダーにタイミングを外されながらも、右手一本で右前へ。好結果で滑り出し、圧巻の一撃は1点差に追い上げた5回無死一塁で生まれた。

 右横手投げ鈴木健に対してカウント1―2から内角スライダーを振り抜き、白球は衝撃音とともに高々と舞い上がった。左翼から中堅方向への風にも乗り、右翼ポールの上を飛び越える逆転の2ラン。悠々とダイヤモンドを一周し、ベンチで出迎えるナインらとタッチで喜びを分かち合った。

 同点で迎えた7回1死一塁ではカウント3―1から立野の内角144キロを捉え、弾丸ライナーで右翼線を破る決勝の適時二塁打。「最後のヒットは真っすぐをはじき返して、まだ良かった。紅白戦でも真っすぐでファウルにされることが多いので意識はしてます」。納得の一打で猛虎の白星発進を決めた。

 大砲の原点は12年前、小学4年の2月ごろにさかのぼる。1年から始めた野球で初めて柵越え弾を放ち、アーチの魅力に取りつかれた。「無我夢中でやっていた。ただ打ちたいだけじゃないですかね。やっぱり打てたら楽しいじゃないですか。それが一番だと思います」。こだわりを持つのは個人記録ではなく、ひたすら野球を楽しむ気持ち。幼少期から変わらない一心で、4球団競合のドラフト1位まで上り詰めた。

 「これをスタートとして、どんどん打っていけるようにやっていきたい」

 単打1本だった2度の紅白戦から一転、華々しい対外戦デビュー。背番号8の輝く明るい未来の始まりを告げる号砲が鳴り響いた。(阪井 日向)

 <記者フリートーク 阪神担当・阪井 日向>

  孝行息子、そして、“孝行孫”だ。きょう10日は佐藤輝が野球を始めるきっかけとなり、学生時代にいくども宮城県から観戦に訪れていた祖父・勲さんの82歳の誕生日。「1打席目の初ヒット、3打席目の初ホームランの2回とも電話かかってきて。ものすごく喜んでいました。最高のプレゼントですよね」と父・博信さんは電話越しに声を弾ませた。

 さらに祖母・美智恵さんが82歳の誕生日だった7日には紅白戦で“プロ初安打”。「ボテボテだったけど、良かったね、と話していたら、今日の活躍ですからね。2日とも大号泣していました」(博信さん)。コロナ下で生観戦はかなわずとも、画面越しから最大の応援者である家族に勇姿を届けた。

 <他球団スコアラー、日本ハム投手陣の声>

 ▼広島岩本貴裕球団部情報課主任(ソフトバンクの)柳田にすごく似ている。思い切り振れるしスイングスピードも速い。

 ▼中日金子丈スコアラー 変化球にも対応してきていて、すごい対応力。本当に怖い存在。

 ▼DeNA加賀繁スコアラー 変化球の対応も下半身を使って打っている。打席に入る前に配球を考えているしぐさも見られた。

 ▼西村 体がデカいなと感じた。(ソフトバンクの)柳田さんみたいなタイプかなと思って投げた。打たれたのはスライダー。ストレートを豪快に振ってきて(スライダーを)うまく打たれた。(初回に右前打)

 ▼鈴木健(打たれたのは)引っかけて真ん中に入ったスライダー。前の打席も見ていて、いいバッターだなと思っていました。実際に対戦して改めてすごいバッターだと感じました。(5回に被弾)

 ▼立野 やっぱりスゴい。ドラ1だけあってパワーはある。(同学年で)対戦は初めて。長打だけは…と思っていたけど、カウントを悪くしたので仕方がないかな。(7回に勝ち越し打)

 ○…佐藤輝(神)がチーム初対外試合で“プロ初本塁打”。1軍キャンプでの阪神新人選手の本塁打は19年2月7日、木浪がチーム初実戦の紅白戦で打って以来2年ぶり。対外試合で打ったのは、宜野座でキャンプインするようになった03年以降では18年2月21日、韓国・KIA戦(宜野座)の島田以来3年ぶり2人目。島田は対外試合4試合目で、初戦での新人本塁打は佐藤輝が宜野座史上初めてだ。 

続きを表示

この記事のフォト

2021年2月10日のニュース