育成2位が球団新人記録2軍7発「本塁打の失敗が安打」広島・木下って何者だ!

[ 2020年10月22日 09:00 ]

今季ウエスタン・リーグ4位の7本塁打を放ってアピールする広島育成・木下
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 新星は、ふいに現れる。広島育成・木下元秀外野手(19)が突然、柵越えを量産し始めた。

 今季ウエスタン・リーグ4位の7本塁打を放ち、2~7号は、9月23日の阪神戦(由宇)から15試合54打席の固め打ちで決めた。記録の残る1991年以降では、堂林(2010年、386打席)、林(2019年、348打席)と並ぶ球団高卒新人の最多本塁打である。驚くことに、木下は21日時点で178打席と2人の約半数しか立っていない。それでも「1ミリも満足していない」と言い切ってしまう“謎の大砲”。知っておいて損はない。

 19年育成ドラフト2位で入団した高卒新人外野手。左投げ左打ち、高校通算38本塁打の長打力が最大の魅力である。敦賀気比では2度甲子園に出場し、2年夏は、背番号1のエース左腕だった。「左肘を痛めて、病院の先生から“投手を続けていたら野球もできなくなる”と言われて…。高3の5月ぐらいから野手になりました。それまでは、ほとんど投手の練習でした」。つまり、野手転向2年目で球団記録に到達したことになる。

 典型的なアーチストだ。「毎打席、本塁打を狙っています。本塁打の失敗が安打」。小学生から4番一筋だった。清々しいほど飛距離にこだわる。

 「打率(・196)を多少捨ててでも本塁打を意識しています。足も速くないし、守備もあまりできない。求められているのは長打。そう考えたら(7本塁打では)満足できないですよね。もっともっと打たないといけない」

 2軍全試合で4番だった林が昇格した期間は、4番にも抜てきされた。チームワースト2位の36三振。「いまは三振か本塁打というイメージでやっています。バットに当たれば本塁打になるように。2ストライクまでは中堅から右翼に本塁打。追い込まれたら中堅から左翼に本塁打という方向の意識だけ変えています」。広島には珍しい生粋の大砲タイプである。

 「プロで20年やろうと思ったら本塁打。足もいつか衰えるだろうし、打率も残せなくなるかもしれない。本塁打を打てる打者は、長く生きられると思っています」

 まずは支配下登録に向けたアピールが求められる。「2桁(本塁打)をノルマにしたいですね」。残り2軍7試合で3発なら射程圏内だろう。逸材が生まれようとしている。(記者コラム・河合 洋介)

 ◆木下 元秀(きのした・もとひで)2001年(平13)7月25日生まれ、大阪府出身の19歳。榎小2年時に榎グレートでソフトボールを始め、三国丘中ではヤングリーグ「サウスウインド」に入団。敦賀気比では、2年夏の甲子園で背番号1を背負い初戦敗退。3年夏の甲子園では「4番・左翼」として3回戦に進出した。1メートル83、87キロ。左投げ左打ち。2019年育成ドラフト2位で広島に入団。

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