巨人・大江 甲子園でプロ初白星!3回緊急登板も高校時代16Kの聖地で2回零封

[ 2020年10月5日 05:30 ]

セ・リーグ   巨人7―1阪神 ( 2020年10月4日    甲子園 )

<神・巨>2番手で登板した大江(撮影・坂田 高浩)
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 首位を独走する巨人の大江竜聖投手(21)が4日、阪神戦の1点差に詰め寄られた3回無死満塁で緊急救援。2三振を奪って後続を断つなど2回無失点で今季3勝目を挙げた。3連投の疲れを見せない完璧なリリーフで、伝統の一戦&甲子園でのプロ初白星。4月に上手から転向したサイドスロー左腕の好救援で、優勝マジックは「17」となった。

 「巨人の星」の星一徹のように厳しい2人の「父」に育てられた。ちゃぶ台返しや、漫画では日常茶飯事の殴る蹴るはない。だが大江はまぎれもないスパルタ教育を受けた。

 3回無死満塁。緊急救援の完璧な火消しにつながった。「ずっと戸郷が頑張ってローテーションを守っていたので、何とか無失点でカバーしてあげたいとマウンドに上がった」。先発の戸郷が押し出し四球で1点差に迫られ、送り出された。この日最大のピンチ。しかも舞台は、二松学舎大付時代に、男手一つで育ててくれた父・広志さん(58)と二人三脚で2度訪れた甲子園だ。15年春は16奪三振も記録した。小学3年時に両親が離婚。キャッチボール相手はいつも父親だった。チューブを体に巻かれ、反対から引っ張られながら走る。リアル「巨人の星」のようなトレーニングで下半身を鍛えた。父が弁当に入れる少し形の悪い、生焼けのハンバーグが大好きだった。

 「1人ずつ全力で投げ込む」。ボーアを空振り三振に斬って乗る。続く原口は一邪飛。最後は小幡も空振り三振でガッツポーズを繰り出した。決め球は全て左サイドから繰り出すスライダーだった。

 原監督の勧めで4月に上手から横手投げに転向。コーチを介して打診され「やります」と即答した。昨年7月は大量失点した試合中、ベンチの隣に座らされ指揮官の個別指導を受けた。「少しポチャッとしてきた」とプロとしての体重管理を指摘され2軍降格。そこからはい上がりこの日は「殊勲者。相当なるキャリアを持っているように感じる」とまで言われた。

 ベンチも追加点を覚悟した無死満塁で1点もやらなかった。3連投ながら、2回無失点で阪神戦初勝利。しかも思い出の聖地でだ。「ホッとしています」。マジック17を導いた大江は笑った。まさに孝行息子だった。(神田 佑)

 ▽大江の二松学舎大付での甲子園出場 1年夏、2年春と2季連続出場。1年夏は控え投手として2試合に登板。海星(長崎)との2回戦では、4回1/3を1安打無失点に抑え勝利投手となった。エースとなった2年春は自己最速の142キロ(当時)を計測。毎回の16奪三振も、松山東(愛媛)に4―5で競り負けた。

 ◆大江竜聖(おおえ・りゅうせい)☆生まれとサイズ 1999年(平11)1月15日生まれ、神奈川県出身の21歳。1メートル73、78キロ。左投げ左打ち。☆球歴 5歳から野球を始める。二松学舎大付では1年夏、2年春の2度、甲子園に出場。2年秋の東京大会では清宮(日本ハム)を擁する早実相手に177球の熱投、12奪三振でチームはサヨナラ勝ち。☆髪形は銀行マン 宮本投手チーフコーチいわく「帽子をとったら、七三で銀行マンみたいなヘアスタイル」。今季の頼もしい活躍に「前はスーツが似合ってたけれど、ユニホームが似合ってきた」。☆趣味 映画観賞。☆好きな食べ物 オムライスとカレー。☆好きな女優 石原さとみ。

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