巨人・戸郷“桑田超え”!高卒2年目以内2リーグ制後球団初の開幕3戦3勝「大先輩に一歩でも…」

[ 2020年7月16日 05:30 ]

セ・リーグ   巨人12―1広島 ( 2020年7月15日    マツダ )

3勝目を挙げ、ポーズをとる巨人・戸郷
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 アッパレ、「桑田超え」だ。巨人の戸郷翔征投手(20)が15日、広島戦に先発し、6回を2安打無失点で3勝目を挙げた。登板が雨で2度流れ、中14日のマウンドも雨の中で投げたが、快投を演じた。チームの首位堅守に貢献し、広島戦は今季2戦2勝。高卒2年目以内の開幕から3戦3勝は2リーグ制後、2戦2勝の桑田真澄を抜いて球団史上初の快挙となった。 試合結果

 投げられる喜びに浸った。プロ入り初めての雨の登板だったが、戸郷にはぬかるんだマウンドも関係ない。右腕を後ろに伸ばしてから投げる独特のフォーム。最速153キロの直球とフォークのコンビネーションがさえた。

 「途中は気になったけど、(マウンドの状態も)そんなに悪くなかった」。相手先発のK・ジョンソンはその足元を気にする一方で、心掛けたのは自分の投球。しっかりと腕を振り、5回2死まで無安打に抑えた。原監督も「ジョンソンに2回投げ勝ったのは非常に価値のある勝ち星」と6月23日に続いて勝利した20歳を称えた。

 少年時代は雨に泣かされた。小1で野球を始め、初めての試合。前日からユニホームを用意し、グラブを手入れした。期待に胸を膨らませて出掛けた球場の空は雨。中止になった。「球場に行って願っていたけど、中止と言われた瞬間、へこんだ」と振り返る。さらに中学、高校の入学後、最初の試合も雨で中止と恵まれなかった。

 プロ入り後のイースタン・リーグ初登板の昨年3月26日ヤクルト戦。晴れ渡った空の下で勝ち投手になった。「初めて晴れたな、神様味方してくれたのかなと思って」と流れを変えたかに見えた。

 再び雨で狂わされた。先発予定だった7日、10日はいずれも雨天中止となり、前回登板から中14日空いた。それでも「強めのトレーニングを入れたりとか、そういうので体のコンディションを整えた」と冷静に準備した。

 「ストライク先行でいけた」と言う通り、打者22人中15人に初球ストライクを投げ、6回をわずか2安打。かつてのエース桑田もなし得なかった高卒2年目以内の開幕3戦3勝の球団初の快挙に「大先輩に一歩でも近づこうと思っていた。もっと近づけるように頑張りたい」と喜んだ。

 釣りが趣味の20歳。雨の日は水が濁り、魚をだましやすくできることなどからよく釣れるとも言われる。マウンドから5年連続負け越し中の天敵の「鯉」を釣り上げた釣果は、チームにとっても大きなものになった。(田中 健人)

 ≪1リーグ時代、沢村栄治は6戦6勝≫戸郷(巨)が今季3戦3勝。2リーグ制後の巨人で、高卒2年目以内に開幕3連勝以上は、66年堀内恒夫(1年目)の13連勝を筆頭に9人目で10度目。うち、シーズン初登板から3戦3連勝は、87年桑田真澄(2年目)の2戦2勝を抜き、戸郷が初となった。なお、巨人で高卒2年以内に限らないシーズン初登板からの最多連続登板勝利は、1リーグ時代の36年秋に沢村栄治が達成した6戦6勝。当時の沢村は京都商を中退してから2年後で19歳のシーズンだった。

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