阪神・サンズ 虎初安打が決勝の逆転3ラン!敗色濃厚のチーム救い「喜びを分かち合うことは楽しいね」

[ 2020年6月28日 05:30 ]

セ・リーグ   阪神8-6DeNA ( 2020年6月27日    横浜 )

<D・神2>9回2死一、二塁、サンズ(中央)は左越え3ランを放ちナインの祝福を受ける(撮影・小海途 良幹)
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 阪神は27日のDeNA戦に逆転勝ちし、連敗を3で止めた。1点を追う9回2死一、二塁から昇格即先発出場した新外国人のジェリー・サンズ外野手(32)が自身初安打となる決勝の逆転3ランを左中間席に運んだ。ジェフリー・マルテ内野手(29)、ジャスティン・ボーア内野手(32)と助っ人野手3人が初めて先発でそろい踏みした「MBS」が打線に活気を生み、今季最多8点を奪った。

 文字通り、「起死回生」の一撃だった。それまで4打席無安打で2三振。相手投手は守護神・山崎。劣勢に見えた状況を「第3の野手」サンズが一振りで全てをひっくり返した。2ボール1ストライクから真ん中低めのツーシームを完璧に捉えた打球は左中間席に着弾。来日初安打が決勝の逆転3ランとなり、窮地にあえぐチームを救った。

 「自分なりに情報収集して、スプリット、ツーシームがいい投手と聞いていた。それに対応できる準備をしていたので、良かったですね」

 興奮気味にダイヤモンドを一周すると、ベンチで迎えるナインを見てさらに興奮。「エアハイタッチ」の存在を忘れてしまうほどだった。「喜びを分かち合うことは楽しいね」。エドワーズに代わって1軍昇格し即先発出場。9回無走者からマルテと大山が必死に四球でつないだ好機を最後の最後でモノにした。

 韓国球界の門をたたいた昨年に経験した、ある「ズレ」が、野球人生の転機となった。速球の平均球速がメジャーより遅いにも関わらず、狙いすましたスイングでも打球が前に飛ばない。「空振りやファウルにした後に“95マイルぐらいかな”と思ってスピード表示を見ると、だいたい5マイルぐらい遅かったんだ」。メジャー経験のある同僚やチームの研究班に相談し、原因はすぐに分かった。「メジャーの投手よりも回転がキレイなフォーシームだから、体感速度が速いということが分かったんだ。だから、それまでの感覚を全部捨てないと、ココでは成功できないと思ったんだよ」。

 人生をかけて海を渡ったのだから、変化は恐れない。「ちょっとだけ」足の上げ幅を小さくしてシンプルな打撃フォームで適応を試みた。2年目の139試合で打率・304、28本塁打、リーグトップ113打点の数字が、その結果を物語っている。

 阪神入団が決まった時点で日本の投手の研究を開始し「同じくフォーシームが素晴らしい」と確認したから、韓国時代のフォームをそのまま使用する。この日も、相手守護神まで研究の目をはりめぐらせていた。まだ完全適応とは言えないが、能力の高さと勤勉さを見せている。「アジアの野球」を知るサンズが、得点力不足にあえぐ猛虎の救世主になると信じたい。(巻木 周平)

 《デビュー戦の逆転決勝本塁打はフィルダー以来》新外国人選手のサンズ(神)が1点を追う9回に来日1号逆転3ラン。阪神助っ人のデビュー戦本塁打は昨季のソラーテに続き、国内移籍組を含め8人目。決勝弾となったのは89年フィルダー、09年ブラゼル、19年ソラーテに続く4人目だが、逆転の肩書付きはフィルダー以来31年ぶり2人目となった。

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