アストロズ 監督とGMを解任 サイン盗みで“クロ” 罰金も5億5千万円

[ 2020年1月15日 05:30 ]

解任されたアストロズのルノーGM(左)、ヒンチ監督(ゲッティ=共同)
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 大リーグ機構(MLB)は13日(日本時間14日)、アストロズのサイン盗み問題の調査結果を公表し、ワールドシリーズを初制覇した17年から18年途中まで行われていたと断定。ジェフ・ルノーGM(53)とA・J・ヒンチ監督(45)に今季終了までの職務停止処分を科し、球団は両者を解任した。ドジャース時代の17年のワールドシリーズで攻略されたダルビッシュ有投手(33=現カブス)もツイッターで反応した。

 球界を揺るがせたアストロズのサイン盗み疑惑はA・J・ヒンチ監督とジェフ・ルノーGMの解任で決着した。記者会見したア軍のジム・クレーン・オーナーは「2人が始めたわけではないが、両者とも何もしなった」と解任理由を説明した。

 MLBはア軍選手ら68人の証人との面談やメールのやりとりを検証。17~18年途中まで行われていたとし、17年までベンチコーチで現レッドソックス監督のアレックス・コーラ氏と選手が主導だったと結論付けた。中堅のビデオカメラで相手捕手のサインを見て、球種に応じてベンチ脇のごみ箱を叩くなどして打者に伝達。野手の大半が関わり、ヒンチ監督は「止めることができず申し訳ない」と声明を出した。

 “サイン盗み”の最大の被害者はカブス・ダルビッシュだ。ドジャース時代の17年ワールドシリーズで2試合連続で2回途中降板。特に第7戦の降板の際は地元ファンから大ブーイングを浴び、メディアから「Yu Garbage(ユウはゴミだ)」と酷評された。この日、ダルビッシュは自身のツイッターで「もしド軍が17年ワールドシリーズのパレードをやるなら、参加したい。その時は誰か“Yu Garbage”と書かれたユニホームを作れる?」と冗談交じりに投稿。ファンからは「あなたはひどい扱いを受けた。ごめんなさい」などの謝罪の返信が相次いだ。

 MLBはア球団に規定で定められた最大限の500万ドル(約5億5000万円)の罰金、今年と来年のドラフト1、2巡目の指名権剥奪の処分も下した。コーラ氏はレ軍でも同様の疑惑が持たれており、厳罰は必至だ。
 ◆17年ワールドシリーズVTR アストロズが4勝3敗でドジャースを下し、球団創設56年目で初制覇した。シーズン途中にレンジャーズからド軍に加入したダルビッシュは第3戦、第7戦に先発、いずれもメジャー自己最悪の1回2/3で降板した。

 ▼“サイン盗み”経過
☆19年11月12日 スポーツ専門サイト「ジ・アスレチック」が元アストロズの右腕ファイアーズ(現アスレチックス)の告発を伝え、ジェフ・ルノーGMが「大リーグ機構に協力しながら内容を精査し、次のステップを決める」と釈明。
 ☆同17日 米スポーツ専門局「ESPN」がケビン・ゴールドスタインGM特別補佐の関与を報道。サイン盗みを強制するメールを球団内で送り「特に相手ベンチのサインを分析したい」という文面も明らかに。
 ☆同21日 ロブ・マンフレッド・コミッショナーが18、19年も調査対象とすることを明かし「手掛かりをたどって徹底的に調べ上げる」。
 ☆同12月11日 マンフレッド・コミッショナーが既に60人ほどの証人と面談し、約7万6000件のメールを調査したと公表。

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2020年1月15日のニュース