佐々木朗希から感じた世界レベルの素質 ダルビッシュ、大谷らとの共通点

[ 2020年1月15日 09:00 ]

ロッテ新人合同自主トレ初日、ダッシュする佐々木朗希(撮影・長久保 豊)
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 ロッテのドラフト1位・佐々木朗希を初めてみた。もちろん、テレビでは見たことがあるが、やはり“生”で見ないとはっきりとした印象は出てこない。

 第一印象は「結構、細いなあ」といった感じだ。手足が長いので、余計に細身に見えるのだろう。これまで自分が担当してきた選手には、ダルビッシュ、大谷がいる。そんな慣れもあって、1メートル90の佐々木朗が飛び抜けて大きく見えることはなかった。

 ただし、誤解しないでほしい。ダルビッシュも、大谷も入団当初は細く、プロでキャリアを重ねるにつれて体は大きくなっていった。佐々木朗がどんな成長曲線を描くのかは楽しみだ。

 ここまでキャッチボールは軽めだ。11日の新人合同自主トレ初日は塁間程度しか離れなかった。入寮翌日となった9日は、約50メートル離れてキャッチボールを行ったが、その球筋は山なりだった。

 オフの期間も強めにボールを投げてこなかったのだろう。球団関係者の誰に聞いても「焦らせるつもりはない」と言い、佐々木朗自身も「練習メニューをこなしながら、自分で管理している」とペースを上げないようにしていることを示唆している。

 最速163キロ。令和の怪物。甲子園という大舞台で、その姿を見られなかったからこそ、メディアとしてはベールに包まれた実力の片鱗を垣間見たいところ。少々、物足りなさを覚えながらも、周囲に惑わされない芯の強さは「正解」だと感じている。

 松坂や田中将のように高卒ながら、開幕1軍で大活躍したケースもあるが、これらはあくまでもレアケースだ。ダルビッシュにしろ、大谷にしろ、春先を過ぎてから1軍で登板し、2年目に大ブレークを果たした。怪物級のポテンシャルを持っていながらも、その中身は18歳の高校生だ。佐々木朗のタイプは、果たしてどちらに似ているのか。その答えは容易だと思う。

 プロ野球を取材してきて、活躍する選手には「共通点」がある。(1)頭がいい。(2)地道な練習を継続できること――。もちろん、個人的な見立てで、あくまでも例外はいる。(1)の例外は圧倒的な身体能力を誇る。ただし、故障が多いような気がする。(2)の例外は一瞬の輝きを放つことはできる。ただし、5年、10年と一線では活躍できない。

 佐々木朗のインタビューにおける受け答えを聞いて、すでに「頭のよさ」は感じている。自主練習でも、居残って練習する勤勉さも感じた。体が大きくて、柔軟性があって、瞬発力もある。素材が世界レベルであることは間違いない。

 記者として4年ぶりに現場へ戻ることになった。その間は、いわゆる新聞社の「デスク」として、社内での仕事が中心だった。佐々木朗は将来、ダルビッシュ、大谷に肩を並べるほどの世界的なトッププレーヤーとなる可能性がある。単なる偶然だが、担当記者としてこの3投手を間近でみるのは、世界で自分一人だけ。幸運に感謝したい。(記者コラム 横市 勇)

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