侍J・坂本、復調マルチ 6番でお目覚め 稲葉監督の信頼に応えた

[ 2019年11月7日 05:30 ]

第2回WBSCプレミア12・1次ラウンドB組第2戦   日本4―0プエルトリコ ( 2019年11月6日    台湾・桃園 )

6回2死、左前打を放つ坂本勇(撮影・岡田 丈靖)
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 台湾の夜空に、坂本勇はようやく光を見つけた。上げた左足は柔らかくタイミングをつかむ。あとは無我夢中でバットを振るだけだった。4回、先頭打者として左前打。代表に合流して14打席目での初安打だった。続けざまに6回2死でも左前打だ。勝利の余韻とともに、両手には確かな感触が残った。

 「結果としてヒットになったんで。これでいい方向に進めればいいなと思う」。1番・遊撃で出場した前夜のベネズエラ戦は6回まで4打数無安打2三振。8回1死満塁では代打・山田哲を送られ、ベンチに退いた。「情けないという気持ちはもちろんある。でも短期決戦。これだけいいメンバーがいるし、勝つためには全然、しようがないこと」。故障を除いて、巨人で代打を送られたのは08年8月12日の阪神戦が最後だ。しかし、坂本勇は屈辱の思いをグッとのみ込み、フォア・ザ・チームに徹した。

 「勇人は分かってくれると思う」。稲葉監督の信頼は決して揺らぐことはない。この日は「少し楽なところで」と打順こそ6番に下げたが、坂本勇をスタメンから外す考えはみじんもなかった。試合前には約5分、自らバットを持って実演しながら打撃指導。「左足を柔らかく使えばいい。遊び心を持ってやろう」――。助言通りに「足を上げた時に力が入り過ぎていた。少し遊ばせながらやった」と坂本勇。指揮官との絆こそが不振脱出の光。稲葉監督は「彼の復調がこのチームには大きい」とうなずいた。

 「チームが勝ったことが全て。打順はどうでもいい。明日もいい準備をして、3つ勝って日本に帰りたい」。この男が目覚めれば、侍ジャパンの勢いは本物になる。 (鈴木 勝巳) 

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2019年11月7日のニュース