恩師が知る広島・小園の傷ついて得た強心臓 あの重圧と戦うためにも再び1軍へ

[ 2019年7月2日 09:15 ]

<広・オ>1回表2死一塁、吉田正の遊ゴロを小園がエラー (撮影・奥 調)
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 誰もが通る道だと慰められても、全員が乗り越えられる壁ではない。広島・小園海斗内野手(19)は、遊撃守備で3試合4失策した残像を頭から消し去れないまま、1日に出場選手登録を抹消されて2軍に戻った。

 プロ2戦目の21日オリックス戦、1点優勢の9回に犯した悪送球は直後の逆転弾を招き、22日同戦の2失策も決勝の失点につながった。決して処理の難しい打球でなかったことを考えれば、フラッシュバックした失策が体を硬直させたのかもしれない。

 報徳学園で小園の2年春まで指揮を執った永田裕治監督には、忘れられない失策がある。U18侍ジャパンの監督を務めた昨年のアジア選手権・韓国戦で、小園が3失策した。「あの試合が一番印象に残っている。人生で初めて3つもエラーをして、試合中に切り替えられなかったのだと思う。小園があそこまで落ち込む姿は見たことがなかった」。小園はこれまでも、大舞台での失敗に傷つきながら成長の階段を上がってきたのだ。

 今回の昇格では本領を発揮できなかったとしても、小園こそ大舞台に強いメンタルを持つ。報徳学園の大角健二監督は言う。

 「緊張するのを見たことがない。それよりも“打ったるぞ”と心の中はイケイケですから。大切な場面で絶対に小園に回ったけど、2年まではそこで打てなかった。でも、3年から甲子園の初戦で結果を残したり変わりましたね。勝ち気な性格に、自信からか落ち着きが加わった。しんどいときに打ってくれるのが小園でした」

 振り返れば、春季キャンプでもオープン戦でも「緊張しませんよ。甲子園も経験しましたからね」と笑っていた。シーズンは、また別物なのだろう。今春に首脳陣をうなずかせた攻めの守備が影を潜め、重圧なのかと聞けば、「本当にその通りだと思います」と素直に認めた。

 まだ心の傷口はふさがっていないだろう。やっかいなことに、その傷は1軍で場数を踏むことでしか完全には癒えない。強心臓の小園なら1年目のうちにでも、1軍の重圧を乗り越えられると信じて待ちたい。(記者コラム・河合 洋介)

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2019年7月2日のニュース