【野村謙二郎氏 大分析1】広島ジョンソン 対左ツーシームで真価発揮

[ 2018年10月29日 08:30 ]

SMBC日本シリーズ2018第2戦   広島5―1ソフトバンク ( 2018年10月28日    マツダ )

<広・ソ>4回1死一、三塁、柳田から空振り三振を奪うジョンソン(撮影・椎名 航)
Photo By スポニチ

 広島の左腕ジョンソンは、右打者よりも左打者をやや苦手としている。しかし、4回1死一、三塁のピンチで柳田を空振り三振に仕留めた内角低めのツーシームは完璧だった。スポニチ本紙評論家の野村謙二郎氏(52)は、シーズン終盤に左打者対策として練習していたと指摘。また、試合開始直後にマツダスタジアムの風向きが変わったことも、不慣れなデスパイネの守備に影響したと分析した。(構成・鶴崎 唯史)

 ジョンソンは今季でも3本の指に入る内容だった。直球の切れ味が良く、精神的にも安定していたように見えた。4回1死一、三塁で柳田を空振り三振に仕留めた場面は特に好投を象徴していた。

 実は、シーズン最後の2、3試合前に、ジョンソンはモデルチェンジしている。右打者の内角には目標物があって投げやすそうにしていたが、課題は右の外角、左打者の内角に対して制球がアバウトになるところ。その弱点となる右打者の外に対して、ツーシームを使い始めてからリズムが変わった。つまり左打者のインコースだ。

 柳田に対しては、ツーシームで初球に見逃し、2球目に空振りを奪い、早々と追い込んで4球目にまたもツーシームで空振り三振。パ・リーグ随一の打者に思い通りの投球ができた。元来、対左打者に対しての被打率(・265。右は・249)が高かったことも、ツーシーム多投の裏にはある。石原と話し合って決めたことだろうが、制球が格段に上がったことが好投の一因であるのは間違いない。

 4回は先頭打者に四球。さらに味方の失策もあり、ピンチが広がった。石原は盗塁阻止率も高くなく、ジョンソンもけん制が速くないので、走者に大きなリードを取られると、途端にセットポジションのバランスが崩れ、ストレスを感じるシーンは多々見てきた。しかも柳田を空振り三振に取り、リズムが出てきた時に、投手コーチがマウンドに行き、ジョンソンが「なんで出てきたんだ?」というポーズを取った。私もヒヤヒヤして見ていたが、それでも崩れなかったのは、ツーシームという新たな武器があったからといえる。

続きを表示

2018年10月29日のニュース