初のサヨナラ弾放ったヤクルト上田、チームに不可欠な心優しきムードメーカー

[ 2018年9月7日 10:10 ]

4日の中日戦11回2死一、二塁、サヨナラ弾のヤクルト・上田(手前)を小川監督が笑顔で抱き寄せる(撮影・大塚 徹)
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 4日の中日戦(神宮)。9―9の延長11回2死一、二塁、途中出場していたヤクルトの上田がプロ初のサヨナラ弾となる今季1号3ランを放った。9回に打者11人の猛攻で6点を奪い、延長戦に持ち込んで連敗を3で止める劇的な勝利だった。

 「何度もチャンスで打てなくてはがゆい気持ちでいっぱいだった。いろんな人が打撃に親身になって支えてくださった。こういう結果が出てよかった」

 早出はもちろん、休日もほぼ神宮の室内練習場で打ち込んでいる。小川監督は「代打、代走、守備固めと貴重な存在。毎日、早出で一生懸命やっているし、それか結果としてでたのは良かったし、大きい」と評価していた。周囲も喜んでいる姿が印象的だった。

 岡山県出身のプロ12年目。7月には西日本豪雨で地元が被害を受けていた。実家は大きな被害はなかったというが、中学時代、所属していた岡山市を拠点とする「ヤングカープ岡山」では練習する河川敷のグラウンドが水浸しになった。道具などが流されてしまったことを知ると、同じチーム出身のDeNA・柴田と話し、チームで使わなくなったボールを300球以上、道具と一緒に寄付したという。「少しでも助けになれば」という思いからだ。

 「後輩に優しくて、誰よりも練習熱心。よく(後輩を)食事に連れて行ったりもしています。負けず嫌いですしね」

 こう証言するのは江村打撃投手兼広報だ。新人の宮本が1軍の遠征に同行すると、広島で先輩の石川、青木とともに鉄板焼きへ。宮本は「連れて行ってもらいました。おいしかったです」と喜んでいた。

 お調子者のようにも見えるが、仲間思いで優しい。チームは現在、リーグ2位につける。ベンチから張り上げる大きな声はもちろん、貴重な盛り上げ役を担うムードメーカーは、クライマックスシリーズ進出を狙うチームに不可欠な存在だ。(ヤクルト担当 細川 真里)

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2018年9月7日のニュース