3度目登板で初勝利、優しさあふれる巨人ドラ1鍬原にみるプロ意識

[ 2018年6月16日 10:18 ]

14日のソフトバンク戦で4回2死一、二塁、松田から三振を奪い雄叫びをあげる巨人・鍬原。プロ初勝利を挙げた(撮影・荻原 浩人)
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 4月に入社し、6月から巨人担当になった。分からないことばかりだが、刺激的な毎日を送っている。

 東京ドームやジャイアンツ球場に通う日々が待っているとは想像していなかったが、勝手ながら運命のようなものも感じた。というのも14年に1年間、東京ドームのボールボーイのアルバイトをしていたからだ。

 当時は、高橋監督が代打の切り札で、「代打・高橋由伸」のコールにドームが揺れたのを鮮明に覚えている。時の流れを感じるが、違った形で東京ドームに戻って来られたことをうれしく思う。

 さて、本題である。新人の立場として、1年目の選手の動向は特に気になる。ドラフト1位ルーキーの鍬原が14日のソフトバンク戦(ヤフオクドーム)でプロ初勝利を挙げた。

 4回1死から柳田、デスパイネに連続四球を与えたが、上林、松田を連続空振り三振。四球から崩れた過去2度とは違うぞと思わせる投球だった。成長を見せ、3度目の正直を果たした。

 ウイニングボールは母・佐代子さんに届ける。過去2度の登板は観戦に訪れたが、勝利の姿を見せられず、「次はお母さんの前で勝てるように頑張ります」と約束した。

 初任給で母にキーケースと財布をプレゼント。大阪遠征中の2日には休養日を利用してサプライズで奈良県の実家に帰ったが、母は不在。鍬原の2度目の登板に備えて東京に残っていたのだ。まさかの逆サプライズを受けて、同じ奈良県内の祖父母宅を訪れた。

 家族思いの優しい一面もあるが、一方で新人らしからぬプロ意識の高さも感じる。「何を言っても言い訳になるので。僕の技術不足です」と潔く振り返る姿勢が印象的だ。

 セットポジションでの投球が課題と見るや、自ら菅野や斎藤投手総合コーチ、豊田投手コーチらにアドバイスを求めに行った。初勝利にも慢心はない。「先輩方に勝たせてもらった。次はチームを勝たせてあげられるような投球がしたい」と宣言した。

 立場は違うが、同じルーキーとして見習うべき点は多い。言い訳をせず、積極的に、向上心を持って、鍬原に負けじと頑張っていきたい。(記者コラム 岡村 幸治)

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