“雑草”阪神・才木G倒プロ1勝 “高校ビッグ4”に「プロでは負けたくない」

[ 2018年5月28日 05:30 ]

セ・リーグ   阪神9―1巨人 ( 2018年5月27日    甲子園 )

<神・巨>巨人を相手に6回無失点でプロ初勝利を挙げた才木(撮影・奥 調)
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 阪神・才木浩人投手(19)が27日の巨人戦でプロ2度目の先発に挑み、初勝利を挙げた。最速152キロの速球にフォーク、カーブを有効に織り交ぜて6回を2安打無失点に抑えた。本拠地巨人戦では4年ぶりの同一カード3連勝と2位浮上に貢献。今季最長を更新する5連勝で貯金2へ伸ばし、交流戦へ弾みをつけた。

 高校時代は近くて遠い場所だった聖地での初先発。才木は目いっぱい腕を振った。12安打されて5回5失点に沈んだ前回20日の中日戦も糧につかんだ初勝利。招かれた殊勲の壇上で「最高です!」と喜びを吐き出した。

 「憧れの場所だったので、この場所で投げて、こうやってインタビューして頂けることを光栄に思います。連勝を止めるわけにはいかないと思っていた。こういうピッチングができて良かった」

 出し切った。6回2死二塁で吉川尚に投げ込んだ直球は141キロ。初回の最速152キロから落ち、疲労は明らかだった。最後の95球目。2球続けたフォークで空振りを取り、投げきった。

 3位指名された16年ドラフトは「高校BIG4」と呼ばれる作新学院・今井(西武1位)、履正社・寺島(ヤクルト1位)、横浜・藤平(楽天1位)、花咲徳栄・高橋昂(広島2位)の4人が注目された。才木は2年春の兵庫県大会4強が最高。3年夏は2回戦で敗れた。「僕のことなんて知らないと思います…。でも、入った以上は同じですし、プロでは負けたくない」。無名に近いスタートでも、スター候補が並ぶ同世代に強い対抗心を向けてきた。

 高卒2年目ながら今春は1軍キャンプに初抜てきされ、実戦でも好結果。「“いつ投げるん?”みたいな連絡はめっちゃ来てました。自分も早く投げたいと思っていましたし、みんなもずっと、応援してくれていた」。開幕後も昇格候補に名前が挙がりながら雨で予定が変わるなど出番が来ず、野球部の仲間から勇気づけられた。

 「ドラフトの時、自分や家族以上に喜んでくれた。チームとしてすごい成績は残せなかったですけど、活躍して、みんなにもっと喜んでもらいたい」

 09年開校の須磨翔風からはプロ1号選手。多くの同期部員が観戦した前で堂々の勇姿を披露し、自分のことを誇りに思ってくれる球友たちに最高の時間を届けた。「エースと呼ばれるくらいのピッチャーになれるように頑張ります!」。猛虎にニューヒーロー誕生の予感だ。(巻木 周平)

 《10代では才木が初》2年目の才木(神)が6回無失点でプロ初勝利。阪神の投手でプロ初勝利が巨人戦だったのは03年の吉野と久保田以来で、いずれも救援勝利。先発に限ると87年8月11日(後楽園、○6―4)に新人の猪俣が記録して以来31年ぶり、10代では才木が初めてだ。

 《才木 浩人(さいき・ひろと)》

 ★生まれ 1998年(平10)11月7日生まれ、兵庫県神戸市出身。

 ★サイズと投打 1メートル89、80キロ。右投げ右打ち。

 ★球歴 出合小1年時に「枝吉パワーズ」で野球を始める。王塚台中2年秋に投手転向。須磨翔風では2年春の兵庫大会で創部初の4強入り。3年夏は2回戦で報徳学園に敗れ甲子園出場なし。

 ★ドラフト 16年3位で阪神入り。

 ★球団最年少ホールド 17年10月5日の中日戦に救援でプロ初登板。1回を無失点に抑え、球団最年少ホールドを記録。

 ★趣味 将棋。父・昭義さんの影響で幼少期から始める。高校生以降はなかなか相手がおらず、スマートフォンで将棋アプリを取得

 ★身長 入団時1メートル88から1センチ伸び、「もうさすがにないと思います」と笑う。まだ伸びるかも!?

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