秀岳館・川端 秘策は走者“完全無視” 1球もけん制投げず機動破壊を破壊

[ 2017年3月30日 05:30 ]

第89回選抜高校野球大会第10日・準々決勝   秀岳館9―2高崎健康福祉大高崎 ( 2017年3月29日    甲子園 )

<高崎健康福祉大高崎・秀岳館>7回1死一塁、永渕(手前)を空振り三振に仕留める秀岳館・川端
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 準々決勝4試合が行われ、秀岳館(熊本)が9―2で高崎健康福祉大高崎(群馬)に快勝した。先発した川端健斗投手(3年)が「機動破壊」を掲げる相手に対し、1球のけん制もせずに自らの投球に専念し、13奪三振、2失点で甲子園初完投。秀岳館は昨春から3季連続の4強入りを決めた。また、昨秋明治神宮大会を制した履正社、報徳学園、大阪桐蔭の近畿勢3校も準決勝に進出した。

 走塁で重圧を与えて畳みかける「機動破壊」を掲げる高崎健康福祉大高崎と対戦する際、相手チームは走者にかき回されないことを考える。ところが、先発・川端は1球もけん制を投じず、145球で完投した。

 「走者は無視して投げました。意識すると球が高めに浮いたり、相手のペースにはまるだけ。ピンチになっても抑えればいい」

 鍛治舎監督が「完全無視」の意図を説明した。「機動破壊といっても本塁(本盗)までは破壊できない。だから盗塁はいくらされてもいいし、三塁までは行かせていい」。逆に面食らったのが健大ナインだ。6番・大越は「走るなら走れって感じで、凄く投球テンポが良かった。プレッシャーをかけられなかった」と振り返る。川端は5盗塁を許したが、13奪三振で2失点完投。指揮官が秀岳館を率いた過去の甲子園10試合全て継投だったが、初めて1人の投手が投げきった。

 実は鍛治舎監督は、健大野球の大ファン。甲子園の試合はビデオで全戦チェックし「新鮮で面白い」と力説する。その上で「仕掛けるチームは仕掛けられると弱い」と、7回2死満塁ではヒットエンドランを敢行。7番・藤本が空振りし、二塁走者が飛び出し、最終的には三塁走者がタッチアウトになったが、セオリーにない作戦は、健大野球に大いに感化された結果だった。

 これで昨春甲子園から3季連続4強入り。11年夏から12年春夏で記録した光星学院(現八戸学院光星)以来の快挙だが、過去2季は決勝での戦いを意識するあまり、昨春は高松商、夏は北海に準決勝で足をすくわれた。今春の準決勝の相手は大阪桐蔭だ。「二度あることは三度あるか。三度目の正直なるか」と鍛治舎監督。鬼門を突破した先に、栄光への“架け橋”がかかっている。 (東山 貴実)

 ≪戦後6校目≫秀岳館がともに4強の16年春、夏に続き3季連続で準決勝に進出。甲子園の3季連続4強入りは、11年夏〜12年夏の光星学院(現八戸学院光星)以来12校目(13度目)、戦後では6校目。最長は31年春〜33年夏の中京商(現中京大中京)で6季連続。九州勢の3季連続4強は初めて。

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