【斎藤隆のパドレス留学記】メジャーにつながる“裾野”の広さ 日本でも…

[ 2016年8月3日 09:15 ]

ほとんど観客がいない球場で試合を行うルーキーリーグの選手たち

 8月1日はウエーバーを経ないトレード期間の期限日。私のオフィスの隣はA・J・プレラーGMの部屋で、この1週間は朝から晩まで連日、幹部が集まってミーティングを行い、壁越しに選手の名前も聞こえてきました。

 パドレスは現在、数年後を見据えて改革中。26日にブルージェイズ、29日にマーリンズ、30日にブレーブスと、立て続けにトレードを成立させ、主力を放出して代わりに若い有望な選手を獲得しました。その中には19歳の有望株もいます。

 1200人以上が指名された6月のドラフトの時もそうでしたが、日本とは規模が違う人の流れを目の当たりにするたびに、米国野球の組織の大きさを実感します。この時期、日本からは高校野球の結果を知らせるメールが届きます。私の母校・東北高校は甲子園出場を決めましたが、当時のエース、遊撃手、そして中学時代のチームメートからは「息子があと一歩のところで甲子園に出場できなかった」などと、残念な連絡も来ました。

 甲子園に出場できなかった選手、あるいはレギュラーになれなかった選手の中には、高校生活で野球に一区切りをつける選手もいるでしょう。でも、彼らに可能性は本当にないのか。私はパドレスの1Aやルーキーリーグのチームも視察していますが、日本の高校生と比べて、そこまで差があるとは思いません。強豪校の控えには、彼らよりうまい選手がいるかもしれません。日本のドラフトは即戦力を求める傾向が強いので、高校生の指名は限られます。

 私も1Aのチームを最初に見た時は、日本のプロ野球に例えれば、5軍や6軍にあたるので、その存在意義は何なのか考えてしまいました。でも、この裾野の広さが米国の野球を支えているのです。可能性は限りなく低くても、この中から一人でもメジャーリーガーが誕生すれば、それは素晴らしいストーリーです。日本も野球人口の底辺を広げるにはどうすればいいのか。そんなことを最近、ふと考えます。(パドレス編成本部付インターン)

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2016年8月3日のニュース