ソフトB 若鷹育てるファーム60億円基地 合言葉は「世界一」

[ 2016年5月17日 11:15 ]

室内練習場には各所にビデオカメラが設置され、選手の動きが常時記録されている

 ソフトバンクが2・3軍の施設を福岡県福岡市から同県筑後市の「HAWKSベースボールパーク筑後」に移転して、約2カ月が過ぎた。新球場「タマホームスタジアム筑後」を含む施設全体の広さ約7200平方メートルは12球団最大。室内練習場や選手寮など、3年連続日本一を目指すチーム同様に「世界一」を合言葉に建設された。チームは2位・ロッテに3ゲーム差をつけて首位と今季も好調。その強さの根本を支えるファーム施設を紹介する。 (鈴木 勝巳)

 完成間もないタマホームスタジアム筑後。その正面入り口の横には「めざせ 世界一!」と書かれた竣工(しゅんこう)の碑がある。孫正義オーナー(58)が掲げるスローガンは、ファーム施設にまで行き届いていた。「オーナーの言うように、何事においても一番を目指していますから」と、ソフトバンク筑後事業推進室の柴田三郎室長(57)。総工費は約60億円。敷地面積7200平方メートルは12球団最大だ。さらに65メートル×2の広さを誇る室内練習場、クラブハウス、寮…。来年3月には天然芝のサブ球場も完成する。

 球団が3軍制を導入したのは11年。若手育成に本格的に取り組み、昨年ドラフトでは指名6選手が全員高校生だった。現在、育成選手数は巨人の23人に次ぐ21人。柴田室長は「巨人のV9を超えるV10を目指すためには、自前でしっかりと選手を育てなければならない。ファームの充実は重要です」。その設備もさまざまな工夫が施されている。

 (1)24時間稼働の32台のカメラ 打席、マウンドなど選手が練習している姿を撮影。選手やコーチはiPadなどで即座に映像をチェックできる。まさに「鷹の目」?

 (2)オートメーションの打撃マシン2台 ボールを集める、マシンに設置するといった手間を省き、手元のボタンで全て操作できる。バッティングセンターと同じ。

 (3)リハビリ用の流れるプール「スイメックス」 幅6×5メートルは国内最大級。底にローラーが付いており、プール内を歩いてトレーニング可能。お値段はウン千万円。

 練習施設だけではない。クラブハウス、寮の外観はおしゃれなマンションやオフィスのよう。ストレス軽減のためにガラス面を増やし、木々を多く植えて光と緑が楽しめるよう設計された。中庭に加えて、素振りどころかバーベキューまでできそうなウッドデッキまである。選手が野球漬けになるには最高の環境だ。

 世界一、を合言葉に誕生した新たな拠点。柴田室長は「地域密着もコンセプトの一つ。皆さんの関心も高いし、期待も大きい。ここを中心に地域活性化ができれば」。2軍戦では満員の3113人でスタンドが埋まることも多い。今後も地元・筑後市とタッグを組みながら、最強軍団の後方支援基地となる。

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