投手、野手でも異なる事情…来季開幕日 選手、球団で目に見える議論を

[ 2016年5月17日 09:30 ]

2013年3月、WBC準決勝でプエルトリコに敗れ、勝利を喜ぶプエルトリコナインを前に肩を落としベンチから出る侍ジャパンの選手たち

 17年シーズンの開幕日について、日本野球機構(NPB)側が3月31日と提案したが、日本プロ野球選手会は「選手の総意」として、4月開幕を申し出た。まだ、WBCは大会側から正式発表になっていないが、第4回大会は米国時間3月22日(日本時間同23日)が決勝戦で、侍戦士の日本帰国は24日になると想定されているという。1週後の開幕では、激闘を繰り広げた出場選手の休養、そして再調整期間が少ない。そう判断した選手会は4月4日、もしくは同7日の開幕を要望した。

 過去の大会を見る。

【06年第1回大会】

帰国日=3月22日

パ開幕=3月25日

セ開幕=3月31日

【09年第2回大会】

帰国日=3月25日

セ・パ開幕=4月3日

【13年第3回大会】

帰国日=3月19日(決勝まで戦った場合3月21日帰国予定だった)

セ・パ開幕=3月29日

 06年のパ・リーグだけが異例の早さだったが、あとは曜日の関係。帰国した翌週の金曜日に開幕している。来年は、3月24日が金曜日。同31日は翌週の金曜日で、1、2日のズレはあるが、過去の大会とほぼ同じ流れをくんでいる。

 選手会は、過去の例も見た上で、出場選手の負担を最優先で考えた結果の提案だという。確かに、過去に、本来なら開幕投手を務めるはずのエースが、開幕2カード目以降に先発する事例があったのは確かだ。

 第1回、第2回大会でMVPを獲得した松坂大輔投手(現ソフトバンク)はかつて「シーズンと国際大会のどちらが重要かという議論が出ますけど、僕は両方が大事。両立するのがプロ」と話した上で「ただ、投手は期間を空けてくれた方がありがたい」と言った。球団では先発を務めるエースが、代表では中継ぎに回ることもある。先発のルーティーンを取り戻す上では、一定の調整期間は大切だ。

 ただ、野手には違った見方もある。WBCで控えに回ったある選手は、通常なら日本のオープン戦で実戦の中で確認できるものが大会中はできないことを嘆いた。だから「早く開幕して試合の中で感覚を取り戻したい」と話した。投手と野手でも事情は異なる。

 翌年の開幕日程は、例年なら前年6月には内定している。選手会としては、故障のリスク、選手の負担を極力減らす策を考えることは大切だが、年俸を支払うのは日本の球団だ。各球団がレギュラーシーズンを円滑に進める上で、選手会が「遅らせてほしい」と突っ張るのも無理がある。

 日本において、WBCのファンの関心度は世界で出場国でも一、二を争う。WBCが第5回以降も続くのであれば、次回は、選手の声、球団の言い分を世間に見える形で議論を進めてほしいと思う。双方が喧嘩しているわけでもないだろうし、たった「1週間」の違いであっても、だ。(記者コラム=倉橋 憲史)

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2016年5月17日のニュース