【由伸監督&中畑氏 新春対談2】岡本の今後が楽しみ

[ 2016年1月2日 05:30 ]

巨人の岡本

 中畑 巨人の4番(※注1)の重さをどう思う?背負っているものというか。

 高橋 僕はやっぱり、4番というのは試合に出ているもの、という責任感は常にありました。ジャイアンツのレギュラーとして試合に出るという自覚と責任というのは常に、重く思っていた。

 中畑 春先のオープン戦、休ませてくれた?軸になって、クリーンアップを打つようになって。

 高橋 全部出ました。

 中畑 出るよね?今、みんな休ませるじゃん。俺も、ずっと出ていたけど、看板と言われる選手は出続けなきゃいけないと思う。オープン戦といえども。今は大事にしすぎているなという。だから自覚もちょっと薄いのかなって。

 高橋 それは確かにそうですね。

 中畑 本当の責任感が生まれてこないと、真の軸になる選手も生まれてこない。今年のオープン戦、楽しみに見てるわ。誰がずっと使われているか(笑い)。昨年の秋季キャンプ。若い連中で「こいつかな」ってやつはいた?

 高橋 中畑さんも見られていると思いますけど、岡本は楽しみですよね。

 中畑 (一昨年の)ドラフト1位のね。うちがいきなりホームランを打たれた(※注2)。うちはスターをつくるのがうまいのよ。相手チームの(笑い)。

 高橋 DeNAだって筒香や梶谷…、怖さがありましたよ。そういう選手をつくりたいです。

 中畑 監督の本当の楽しみって選手をつくっていくことだと思うけど、ジャイアンツは、そんな余裕がない。毎年勝たなきゃいけない。

 高橋 世代交代も大事ですけど、僕はその上にもう一個、勝たなくちゃいけないというのを念頭に置いてやりたい。阿部でも村田でも無理やり、世代交代させるつもりはない。彼らができる間は当然、頑張ってほしい。もし新しい戦力が来て、彼らを追い越してくれるのであれば、それで初めて世代交代だと思っています。

 中畑 由伸とは、日の丸(04年・アテネ五輪=※注3)も一緒に背負ったじゃない。

 高橋 そうですね。

 中畑 キャプテンだった宮本(当時ヤクルト)と、よくつるんでくれた。「とにかく勝つんだ」と。世界一を獲るための準備をする姿に俺、感動しちゃってさ。

 高橋 とにかく、何をしてでも勝たなくちゃいけないと思っていました。

 中畑 一番思い出に残っているのは台湾戦。ガッツ(小笠原)の犠牲フライでホームに(※注4)。あの時(三塁コーチの)高木(豊)を通り過ぎてベンチまで来て“中畑さん、浅いフライでも勝負していいですか?”って。“当たり前じゃねえか”って言った言葉は今でも忘れないけど、あれは予知できたの?

 高橋 ヒットを打ってゆっくり還れればいいですけど、そうじゃないケースもある。普通だったら代走が出ているケースですよね。でも、勝負を懸けなくちゃいけないところだと思ったので、チームとして意思確認が必要だと。

 中畑 その時の先読みとか、監督にとって凄く大事なわけよ。どういう時になったらこうする、という決断をしていくってことは。

 高橋 あの時は当事者だったから多分、自分がしなくちゃいけないことが頭にいっぱい浮かんだと思う。監督になったら全部をやらなくちゃいけない。

 中畑 そういう状況を全部網羅して、先に決断をしておくことが凄く大事。不安とかは(表情に)出しちゃいけない。俺はよく出すんだけどさ(笑い)。でも、由伸はできるタイプだと思う。アテネの時の準備をする姿と、先を見て決断する姿。両方、見ることができた。

 ※注1 中畑氏は巨人の第45代4番として219試合に出場し、打率.285、44本塁打、147打点。高橋監督は第66代4番として142試合に出場し、打率.286、32本塁打、86打点の成績を残した。

 ※注2 岡本は昨年9月6日のDeNA戦(横浜)で、5回2死三塁から代打出場。左腕の砂田が投じた初球スライダーを叩き、左越えへプロ初安打となる1号2ランを放った。高卒新人の本塁打は、巨人では93年松井秀喜以来22年ぶり6人目。松井の7打席を上回る3打席目だった。

 ※注3 初のオールプロで臨んだアテネ五輪野球日本代表は、04年3月に長嶋茂雄監督が脳梗塞で倒れたため、中畑ヘッド兼打撃コーチが代行に就任。準決勝でオーストラリアに敗れたが、3位決定戦でカナダに勝ち、銅メダルを獲得した。

 ※注4 予選リーグ第6戦で台湾と対戦。3―3の延長10回1死満塁から小笠原が左飛を放つと、三塁走者の高橋由がタッチアップ。ヘッドスライディングで生還するサヨナラ犠飛となった。高橋由は7回に、2戦連発となる同点2ランを放つなど活躍。この勝利で5勝1敗とした日本は、1試合を残して決勝トーナメント進出を決めた。

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2016年1月2日のニュース