ヤクルト打線のキモは川端の「攻撃的2番」メジャーでも主流に

[ 2015年11月5日 08:20 ]

ヤクルトの川端

 今季ヤクルトを14年ぶりのリーグ優勝に導いた真中監督の打線のポイントの1つが「2番・川端」だったように思う。川端の今季の犠打数はわずか2で、チームの今季犠打数も104でリーグ最少。出塁した1番打者を犠打で進めるのではなく、打率・336で首位打者に輝いた打撃で3番・山田、4番・畠山の前にさらにチャンスを拡大して大量得点を狙う。侍ジャパンの小久保裕紀監督も、2日付スポニチ掲載のインタビューで打順を組む上でのポイントを2番とし、「打順を組むときのポイントにしようと思っている」と構想を明かした。

 メジャーでも、川端以上に攻撃的な選手を2番に置くケースが目立つ。ワールドシリーズまで勝ち上がった元オリックスのテリー・コリンズ監督率いるメッツは、レギュラーシーズンでは今季35本塁打のセスペデスを打順別では最多の37試合に起用。ポストシーズンでは、メジャーデビューから10年連続2桁本塁打をマークした通算235発の主将ライトを置いた。

 今季22年ぶりのプレーオフ進出に導いたブルージェイズのジョン・ギボンズ監督も、ア・リーグ最多123打点、同3位の41本塁打を放ったドナルドソンを2番で136試合に起用。エンゼルスも41本塁打のトラウトを82試合で起用した。日本以上に長打で一気にチャンス拡大し、大量得点につなげるイメージが強い。

 カブスのジョー・マドン監督の打順の組み方も興味深い。DH制がないナ・リーグの場合、投手を9番に入れることが定番だ。だが、常識にとらわれない采配を振るうことで知られる同監督は上位打線へのつなぎを意識して投手を8番に入れる。これは元カージナルス監督のトニー・ラルーサ氏(現ダイヤモンドバックス編成最高責任者)が投手を8番に置くことを参考にして決めたという。

 米スポーツ専門局ESPNによると、過去50年間で「8番・投手」が起用されたのは、619試合でうち432試合がラルーサ監督によるものだったという。名将からアイデアを受け継いだマドン監督は、同局の記事で「8番・投手」の理由を、今季大リーグデビューした21歳のラッセルに「経験を積ませるため」と説明した。仮に8番にラッセルを置いた場合、好機で打順が回ってきても状況によっては敬遠されることもある。投手を8番に置けば、ラッセルがより多くの打席で経験を積み、よりよい形で1番につなぐことができる可能性も高まる。

 これまでの打順の概念とは違ったパターンがみられた今季。各監督がどの選手を置き、どのような意図を持って打順を組んでいるのかも深く掘り下げていきたい。(東尾 洋樹)

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2015年11月5日のニュース