由伸監督補強第一弾 FA表明の脇谷出戻り獲り 左の代打で期待

[ 2015年11月5日 05:30 ]

お立ち台に立つ脇谷(左)と現役時代の高橋監督。10年4月撮影

 西武・脇谷亮太内野手(34)が4日、今季取得した国内フリーエージェント(FA)権の行使を表明した。移籍先としては、古巣の巨人が獲得に乗り出す可能性が高いとみられる。高橋由伸新監督(40)、井端弘和内野守備走塁コーチ(40)が今季限りで現役を引退したことで野手の層が薄くなり代打としても勝負強い脇谷は補強ポイントに合致する。今オフのFA宣言第1号で、獲得となれば高橋新体制での補強第1弾となる。

 悩み、迷った末の決断。脇谷は吹っ切れたような表情で、西武第2球場で取材に応じた。くしくもこの日が34歳の誕生日。午前中に鈴木葉留彦球団本部長と2度目の交渉を行い、意向を伝えた。「僕みたいな選手が、10年かけてやっと取った権利。他球団の評価を聞いてみたいという思いが一番強い」とFA宣言に至った思いを明かした。

 巨人から移籍して2年間、西武でプレー。「温かく迎えてくれたし、(球団との話し合いで)誠意も伝わってきた」。球団側は宣言残留を認める方針。それでも脇谷は「凄く迷ったけど、もう一回チャレンジしようと思った」と新天地での再スタートを思い描いている。今季は118試合に出場。100試合以上は5年ぶりで、打率・294をマークした。後半は本職ではない右翼の守備に就き、レギュラーの座を確保。3番を任されたこともあり、勝負強い打撃でチームに貢献した。

 「出場機会も増えた。まだまだやれると思う」。そんなユーティリティープレーヤーの獲得に乗り出す可能性が高いとみられるのが、古巣の巨人だ。高橋新監督、井端内野守備走塁コーチがそろって今季限りで現役を引退。指揮官が今季まで担っていた「左の代打」としてマッチする。また、井端コーチが抜けたことで層が薄くなった内野をカバーできることも大きい。脇谷は一、三塁に加えて外野も守れるだけに、より柔軟な起用法が可能になる。

 巨人では13年までプレー。12年には右肘の手術を受けた影響で育成選手となったが、そこから再びはい上がってきた不屈の闘志の持ち主だ。巨人側はそんな脇谷のスピリット、プレースタイルなども熟知していることに加え、高橋新監督とは自主トレをともに行う間柄でもあった。さらに、今季年俸は2400万円。人的、金銭ともに補償の必要がない「Cランク」とあって、獲得に動きやすいという側面もある。

 「他球団からお話を頂けるかも分からない。まだはっきりしたビジョンはないが、やるからにはレギュラーを獲りたい」と脇谷。9月19日日本ハム戦(札幌ドーム)で右足首を骨折して治療中だが「(来年の)2月に100%かは分からないけど、野球ができる状態には戻っていると思う。オフなしでリハビリをやりたい」と話した。

 13年オフの西武移籍は、巨人がFAで獲得した片岡の人的補償によるものだった。「人的補償→古巣にFA復帰」となれば史上初のケース。さらに高橋新体制での補強第1弾ともなるだけに、その動向が注目される。

 ◆脇谷 亮太(わきや・りょうた)1981年(昭56)11月4日、大分県生まれの34歳。柳ケ浦では2年夏に甲子園出場。日本文理大では4年時に大学選手権で優勝、MVPに輝いた。NTT西日本を経て、05年の大学・社会人ドラフト5巡目で巨人に入団。10年に15試合連続得点のセ・リーグ新記録をマーク。右肘手術の影響で11年12月に育成契約となり、12年11月に再び支配下登録。13年オフにFA入団した片岡の人的補償で西武に移籍した。通算成績は744試合で打率・260、17本塁打、152打点、67盗塁。1メートル76、77キロ。右投げ左打ち。

 ▼巨人・堤辰佳GM(FAの)公示がされて、そのリストを見てから考えます。

 ▼西武・鈴木葉留彦球団本部長 残ってほしい。コツコツやってきた成果が出て、若手にとって見習うところが多い。チームにとってもいい刺激になっていた。(移籍した場合は)痛いです。

続きを表示

この記事のフォト

2015年11月5日のニュース