大谷 西崎以来球団26年ぶり開幕3戦3勝、初回無死満塁しのぎ7回零封

[ 2015年4月13日 06:45 ]

<ソ・日>7回1死、松田を三振に取り雄叫びを上げる大谷

パ・リーグ 日本ハム1-0ソフトバンク

(4月12日 熊本)
 くまモンもびっくり!?地方の鬼だ。日本ハムの大谷翔平投手(20)が12日、ソフトバンク戦に先発し、7回2安打無失点で3勝目を挙げた。人生初の熊本での登板。初回無死満塁の絶体絶命のピンチをしのぐと、今季初の160キロを計測し、9三振を奪って1点も許さなかった。地方球場では13年のプロ入り以来、22回連続無失点。開幕から3戦3勝は球団では89年西崎幸広以来26年ぶり3人目となり、チームを12年以来の両リーグ10勝一番乗りに導いた。

 ついに1点をもらった7回。体中から力が込み上げた。大谷は先頭の長谷川をフォークで空振り三振。続く松田も2ストライク1ボールと追い込む。4球目、今季初の160キロを投げ込んだ。ファウル。ならばフォークだ。146キロの高速で空振り三振に仕留め、ガッツポーズを繰り出した。

 「意識して(三振を)取りにいった。後半の最初の回だったので大事だった」。代打・高田もフォークで空振り三振。3者連続空振り三振でリードを守り、111球で救援陣に託した。7回2安打無失点で開幕から3連勝。直球で追い込み、フォークで仕留める必殺パターンがさえわたった。

 試練の始まりだった。初回、2四球などで無死満塁。不安定な立ち上がりとなったが、4番の内川から156キロ直球で見逃し三振を奪った。李大浩(イ・デホ)も一直の併殺。「ゼロでいけたのが大きかった」と勢いに乗り、初めて対戦したソフトバンクの工藤監督も「さすがにいいピッチャー。自分の思うように動き始めると、きつい」と脱帽した。

 地方球場ではプロ1年目から22回連続無失点。同じく地方球場に強いスタンリッジに投げ勝ち「(普段と)状況が違って、あんまり好きではないけど、相性はいいのかな」と笑う。優れた対応能力があるからだ。

 イニング間は三塁側ファウルゾーンのブルペンで投げ込み、体を冷やさないように気を付けた。「気温も高くなかったのでいいかなと思った。違う状況でもしっかり対応できて良かった」。風も利用した。左翼から右翼へ5~6メートル。「風もあって曲がった」というスライダーを効果的に使い、決め球のフォークも鋭く落ちた。「鈍感力」さえも味方につける。「ちょっと天然。(練習メニューをし忘れ)よく、“あっ、そうだった”とか言う」と中垣トレーニングコーチ。だから、どんな環境でも気にせず、普段通りの力を発揮できる。

 人生初の熊本。前夜の食事はルームサービスで済ませたため、特産品の馬刺しは食べられなかったが、藤崎台県営野球場は日本三名城・熊本城の敷地内で「球場に来る時に(城を)見ることができました」と観光気分にも浸れた。熊本県PRキャラクター「くまモン」にも縁がある。昨季は練習用バッグに「木佐貫さんにもらった」という、くまモンのキーホルダーを付けていた。試合前やイニング間に「くまモン体操」で盛り上げた、ゆるキャラに勢いをもらった。

 熊本は二刀流の剣豪・宮本武蔵が晩年を過ごした地としても知られる。窮地を切り抜け、相手を仕留める。武蔵と球界の二刀流の姿が重なった。

 ▼日本ハム・栗山監督 大谷は立ち上がりこそ課題だが、あの(ソフトバンク)打線を抑えたことに意味がある。

 ▼西崎幸広氏(89年に開幕から5戦5勝。現日本ハムOB会長)記録は破られるものですからね。大谷にはさらに頑張ってもらいたい。本人の勝ちイコールチームの勝ちだし、エースが投げた試合は落とせないことを考えれば、きょう勝てたことは大きい。

 ≪89年西崎5戦5勝以来≫大谷(日)が7回無失点で今季3勝目。ドラフト制後、日本ハムの開幕投手が3戦3勝は79年高橋直6戦6勝、89年西崎5戦5勝に次ぎ26年ぶり3人目だ。この日はプロ入り初めて熊本でのマウンド。大谷は地方球場に強く通算3勝0敗。22イニングを投げ、いまだ失点を許していない。

 ≪29年ぶり快進撃≫日本ハムは12年以来3年ぶりの両リーグ10勝一番乗り。開幕13試合以下での到達は62年12試合(10勝2敗)、86年13試合(10勝3敗)に次いで29年ぶり3度目の快進撃になった。62年は序盤の好スタートを生かし優勝。86年は5月から4カ月連続月間負け越しと失速し、最終5位に沈んだが今季はどうか。

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