福留フェイクで救った「届かないと思った。打った瞬間から決めていた」

[ 2015年4月2日 06:27 ]

<ヤ・神>8回1死一、二塁、川端の打球を処理する福留

セ・リーグ 阪神2-1ヤクルト

(4月1日 神宮)
 阪神・福留のフェイクが、チームを、松田を、岩本の勝ち星を、みんなまとめて救った。

 1点リードの8回1死一、二塁。長打が出れば逆転…の場面で、川端が松田から放った痛烈な打球は右翼・福留の頭上を襲った。左翼席の虎党からは悲鳴が聞こえたが、福留は諦めていなかった。結果的には、同点のホームさえ踏ませなかった。9―4―2と転送されると、二塁走者・荒木を本塁で補殺した。

 「打球と自分の守備位置とを判断して(打球には)届かないと思った。初めての球場じゃない。何とかしたかったし、打った瞬間から(あのプレーを)決めていた」

 福留にしかできない、トリックプレーだった。打球に対して懸命に背走する姿はなく、徐々に下がり捕球態勢に入ったように見えたほど。和田監督も興奮を隠せない。「孝介にしかできない。あそこで防げたのは大きい。ベンチから見ても捕ったと思った。それぐらいのプレーだった」。

 4月1日のエイプリルフールではないが、味方である指揮官をも「だました」のだから、二塁走者・荒木も難しい判断を強いられるはずだ。実際、福留の捕球態勢を見て、ハーフウエーから一度は帰塁を試みていた。右越え打となり、慌てて本塁へ向かったが憤死した。

 福留から中継に入った上本への送球はワンバウンドとなったが、難しい捕球態勢から梅野へストライク送球。梅野も捕球直前まで突っ立っており、クロスプレーとなる素振りを最後まで見せなかった。「上本はもう少し低い送球でも良かったけど、態勢が悪いなりにしっかりとコントロールをつけてくれた。良いリレーというか(捕手・梅野も含めて)3人の合わせ技。どこかで少しでもミスが出ていればセーフだった」。“三位一体”のプレーに指揮官も満足顔だった。

 「岩本も松田も頑張っていた。松田のためにも良かったね」。そう言うと、福留が最後に少しだけ満足そうな表情を見せた。

 ▼阪神・山脇外野手守備走塁コーチ(福留の8回の守備について)フェイントやね。日頃の練習でもやっているし、瞬時の判断でできる選手。神宮はフェンスが柔らかくてあまり跳ねない。(走者が)引っかかってくれたらホームで刺せる。年に1回あるかないかのプレーやった。

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