敦賀気比 平沼オール完投 松坂超え防御率0・40

[ 2015年4月2日 05:30 ]

<敦賀気比・東海大四>初優勝を決め歓喜の平沼(左から3人目)ら敦賀気比ナイン

第87回選抜高校野球大会・決勝 敦賀気比3―1東海大四

(4月1日 甲子園)
 5試合、603球を1人で投げ抜いた。投ゴロを丁寧に処理して決勝戦27個目のアウトを取った敦賀気比の平沼は、右手人さし指を頭上にかざし、ゆっくりと空を見上げた。「福井県に優勝旗を持って帰ることができてうれしい。夢がかなった。みんなが一つになった」。

  1―1のまま耐え、松本の決勝弾を呼んだ。6~8回は毎回、三塁に走者を背負った。最も厳しかったのは8回無死二、三塁。打者・大沢への2球目、「(捕手の)嘉門が立ち上がり、走者が走るのが分かった」と外角高め直球でスクイズを外し、挟殺プレーで1死を奪うと、大沢を見逃し三振、立花を一ゴロに仕留めた。9回にこの日最速の141キロを計測。最後まで集中力を見せた。

 02年の報徳学園・大谷(現ロッテ)以来となる全5試合完投での日本一だ。同じく全完投だった98年の横浜・松坂(現ソフトバンク)と被安打22は並んでも、防御率0・40は松坂の0・80をしのぐ。

 中学時代在籍した「オールスター福井」が原点。巨人、阪神で活躍した故小林繁氏(享年57)から指導を受けた。今も心に刻む言葉がある。「凄い才能の人間や天才はいっぱいいる。謙虚に一生懸命努力しろ」。小林氏の教えに習い“努力は天才を生む”と練習用帽子に書き込んだ。

 小林さんへの優勝報告は、オールスター福井の立ち上げに携わった東哲平監督と交わした約束だった。「これからはさらに追われる立場になる」。春夏連覇と最速150キロが次の大きなテーマだ。

 ≪02年報徳・大谷以来≫敦賀気比・平沼は全試合に完投して優勝。優勝校の全試合完投投手は02年報徳学園・大谷以来で、金属バットが導入された75年以降では15人目。防御率0・40は83年池田・水野0・00、81年PL学園・西川0・20に次ぐ好成績だ。また平沼は全5試合で4番。全試合で4番を打ち完投勝利は、92年帝京・三沢以来。

 ≪V未経験あと14県に≫敦賀気比が6度目、夏も合わせて甲子園12度目の出場で初優勝。福井勢としては78年春準Vの福井商に続き、春夏を通じ2度目の決勝で頂点に立った。また富山、石川を含む北陸3県としても春夏を通じて初優勝。これで優勝経験のある都道府県は33、未経験は14となった。

 ◆敦賀気比 福井県敦賀市にある1986年創立の私立共学校。94年夏に甲子園大会初出場し、夏は95年と昨年ベスト4。陸上、硬式テニス、空手道部も盛ん。OBに内海(巨人)ら多くのプロ野球選手がいる。

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