敦賀気比北陸勢初V!「満弾男」松本大会3発 清原・松井に並んだ

[ 2015年4月2日 05:30 ]

<敦賀気比・東海大四>決勝ホームランのボールを手にする敦賀気比・松本

第87回選抜高校野球大会・決勝 敦賀気比3―1東海大四

(4月1日 甲子園)
 敦賀気比(福井)が決勝で東海大四(北海道)を3―1で下し、北陸勢では春夏通じて初の全国優勝を飾った。1―1の8回に、前日の準決勝で史上初の2打席連続満塁本塁打を放った松本哲幣外野手(3年)が左越えに決勝2ランをマーク。平沼翔太投手(3年)は9回8安打1失点(自責0)で5試合連続完投勝利を挙げた。春夏通じて初の決勝に進んだ東海大四は大沢志意也投手(3年)が最後に力尽き、北海道勢初優勝はならなかった。

 シンデレラ・ストーリーには続きがあった。準決勝で大阪桐蔭を打ち破る2打席連続満塁弾を放った松本が、今度は北陸初優勝の夢をかなえる決勝アーチだ。同点の8回1死。二塁走者は熱投を続けていた平沼だった。その目を見て「絶対に還す」と心に決めた背番号17の一撃は、左翼ポール際へと吸い込まれた。大会通算17号。くしくも数字が符合した。

 「平沼を助けたかった。センター返しを心掛けて、2つの満塁ホームランよりうまく打てた。福井に優勝旗を持って帰ることができてうれしい」

 何かに導かれている。小学校低学年ではサッカーにも熱中。所属チームがなくなり、自動的に野球に専念した。敦賀気比では投手として期待されていたが、昨春の練習試合で1回で8失点し、野手への道を進みだした。現チームが発足した矢先に右肩周辺の肉離れで出遅れ。そのビハインドを冬場の振り込みで追いつき、半年で急成長。決勝の朝もしっかり100スイングして備え、2日続けてセンバツ史に残る活躍をした。

 冬場、なかなか太陽を見ることができない福井。選手は雪が積もるグラウンドに立たず、小さな室内練習場でバットを振り込んだ。平日は1500回、土日は2000回。東哲平監督は「ボールを投げたい、打ちたいという思いを我慢してやっている。それだけでも精神力が鍛えられる」と話す。松本が頂点へ突き進む道のりで、精神力の強さを存分に見せた。

 甲子園の3発は、松本の野球人生の新たなステージをも切り開いた。この日発表された高校日本代表候補30人の中に名前があった。背番号17が候補に選ばれるのは異例。準々決勝のスタメン落ちから大、大出世だ。

 「人生でこれ以上いいことあるのかな」。閉会式で思わずつぶやいた。いや、強烈なインパクトを残した春は、まだ序章にすぎない。高校野球100年の節目できらめいた一等星は「日の丸は小さい頃からの夢。夏は1桁(の背番号)をつけて活躍し、代表に入ってまた親孝行したい」と目を輝かせた。

 ◆松本 哲幣(まつもと・てっぺい)1997年(平9)10月31日、京都府生まれの17歳。小1から「御所南クラブ」で野球を始める。京都御池中では「京都嵐山ボーイズ」に所属し投手、外野手。敦賀気比では2年秋の北信越大会から背番号17でベンチ入り。1メートル78、75キロ。右投げ右打ち。

 ≪3本塁打 大会最多タイ記録≫敦賀気比・松本が準決勝の満塁弾2本に続き、今大会3本目の本塁打。1大会3本塁打は13年浦和学院・高田以来10人目。過去の9人は満塁弾を含んでおらず、両方達成は松本が初。また準決勝以降で3本を打ったのも松本が初めてで、優勝を大きく引き寄せる3発となった。

 ≪決勝弾は25年ぶり≫敦賀気比の松本が同点の8回に決勝2ラン。センバツ決勝での決勝アーチは1990年近大付の門脇が新田戦で同点の4回に放って以来、25年ぶり。試合終盤での決勝アーチとなると、73年横浜の冨田が広島商戦で同点の延長11回に2ランを放って以来となった。

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