橋本 プロ初のサヨナラ打!“バカ野郎”5月肉離れ乗り越え

[ 2014年7月16日 05:30 ]

<巨・ヤ>延長12回2死二塁橋本が右前サヨナラ適時打を放つ

セ・リーグ 巨人4―3ヤクルト

(7月15日 東京D)
 巨人は15日、今季5度目のサヨナラ勝ちで、ヤクルトとの4時間9分の死闘を制した。3―3の延長12回2死二塁から橋本到外野手(24)が右前にプロ6年目で自身初となるサヨナラ適時打。左太腿肉離れから12日に1軍復帰したばかりで、過去3試合は無安打だったが、8回にも同点を演出する復帰初安打を放ち、最後の最後でヒーローとなった。猛追してきた2位・阪神と3・5ゲーム差は変わらず、首位を堅守した。
【試合結果】

 苦しみを乗り越えて晴れ舞台に帰ってきた。プロ6年目で初のサヨナラ打の橋本は、お立ち台で大歓声を一身に浴びた。

 「野手の間を抜ける打球を打ちたいなと思っていた。サヨナラ打は(鈴木)尚広さんの足に助けられた。この場にいられて本当にうれしい」

 4時間9分の死闘に終止符を打った。延長12回2死二塁。バーネットの内角直球を引っ張った。打球は一塁手のグラブをはじき、一、二塁間を抜けて右前に転がり、二塁走者の鈴木が生還。高橋由、山口ら先輩たちから次々と頭を叩かれる痛みが心地良かった。8回1死一、二塁では復帰後初安打となる左前打で満塁と好機を広げ、同点劇につなげた。打順は前日の8番から2番に抜てきされ、見事に期待に応えた。原監督は「橋本は非常に勝負強さを持っている。爪のあかを煎じて飲ませなきゃいけない人間がいるだろうね」と橋本の殊勲打を称えながら、他の野手にも奮起を促した。

 どん底からはい上がった。開幕から中堅のレギュラーの座をつかみながら、5月8日のDeNA戦(東京ドーム)で左太腿肉離れで離脱。その日の夜、自宅に帰ると悔しさを耐え切れなかった。無心でペンを握り、練習メモに「なにやってんだよ バカ野郎」と殴り書きした。「せっかくつかんだポジションを手放して悔しい」。自分に腹が立った。それでも、今季、活躍した試合の映像を繰り返し見て「また1軍で活躍するんだ」と常に1軍を意識して、必死に気持ちを奮い立たせた。

 故障が癒えた6月末には下半身強化のため、4日間の“ミニキャンプ”を敢行。重さ約5キロのチョッキを着用して約100球のティー打撃を休まずに打ち込んだ。20メートルダッシュも40本。「本当に足がパンパンでしたよ」。体重は故障前より約2キロ増え「みんなから大きくなったって言われるんです」。真っ黒く日焼けした顔で笑った顔は自信に満ちていた。

 16日は前半戦最終戦。「まだまだです。もっと力になれるように頑張ります」と橋本。一日だけでは満足できない。貪欲な若武者が再び定位置をつかみ取る。

 ◆橋本 到(はしもと・いたる)1990年(平2)4月28日、宮城県生まれの24歳。小2から野球を始め、鶴が丘中では東北シニアに所属し、2年時に全国大会出場。仙台育英3年夏の甲子園では6打席連続安打をマーク。08年ドラフト4位で巨人入り。今季年俸1400万円。1メートル72、75キロ。右投げ左打ち。

 ▼巨人渡辺恒雄球団最高顧問(観戦を終えて)若手とベテランが刺激し合っていいな。最高だ。きょうは眠れる。

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