満塁男が決めた!窮地で逆転打の新井良「“落としてくれ!”と」

[ 2014年6月13日 07:51 ]

<ロ・神>8回2死満塁、中前に逆転の3点適時二塁打を放つ新井良
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交流戦 阪神8-7ロッテ

(6月12日 QVC)
 阪神は5―7の8回2死満塁、代打・新井良太内野手(30)の走者一掃となる逆転二塁打でロッテとのシーソーゲームを制した。負ければ4月10日以来、63日ぶりの勝率5割に戻る窮地の中、今季の満塁機は8打数4安打、10打点と大暴れの“満塁男”がチームを救った。

 強く強く込めた執念は、しっかりと打球に伝わっていた。点の取り合いに決着をつけたのは、出番を待ちわびていた元気印・新井良のバットだ。2点ビハインド。逆転された直後の、8回2死満塁だった。嫌なムードを吹き飛ばす、値千金の逆転二塁打を放った。

 「とにかく初球からいこうと思っていた。投げっぷりのいい投手なので、積極的に行こうと思いました。岡田君もものすごく守備がうまいので“落としてくれ!”と思いながら走ってました。この大声援が落としてくれたと思います」

 緒方の代打で登場し、代わったばかりの4番手・松永の初球だった。「左(投手)がきたら、いくと言われていた。いつもは“ヨッシャー、打ったろ”と思うんですけど、空回りするんで…。ヤバイヤバイと思ったら力が抜けるかな、と。打席に入ったら切り替えていました」。

 そう、いつもとは少し違う気持ちで打席に向かい、外角高め142キロ直球をフルスイングした。フラフラと上がった打球は中堅手・岡田がダイブし、一度はグラブに収めたかと思われるも着地の勢いで弾かれ、グラウンドを転々…。気迫の一打は、逆転の二塁打に。5月25日ロッテ戦(甲子園)以来となる出場6試合ぶりの打点で勝利を大きく引き寄せた。

 悲しみを乗り越え、グラウンドに立っていた。先月1日、広島県内に住む母方の祖母・平田朝子さんが帰らぬ人となった。3日からの9連戦、関東遠征に出発する直前の訃報。心を痛めたが、2日に通夜に参列し、最終の新幹線で東京に入った。「小さい頃、よくいとこと遊びにいった。よく“良太、静かにしなさい”って言われたかな…。亡くなる前に2回、会うことができた。最後に会うことができたのは良かった」。天国で見守ってくれる祖母に、ようやく活躍を届けた。

 今季の満塁機はこれで8打数4安打(・500)、10打点と打ちまくっている。まさに満塁男。お祭り男は、負ければ貯金がゼロになる窮地でチームを救った。

 「みんな喜んでくれたので、それが嬉しかった。まだ力がないからベンチなだけです。出たところでしっかり結果を出したい。これをいいきっかけにしたいです」

 ベンチを温める日もあるが、常に声を出し、右翼の守備練習もこなすなど、準備だけは怠っていない。この一打から、良太の逆襲は始まる。

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