ダル 惜しいっノーヒッター 自己最多15K、両リーグ最速200K

[ 2013年8月14日 06:00 ]

<アストロズ・レンジャーズ>8回を投げ1安打1失点15奪三振で12勝目を挙げたダルビッシュ

ア・リーグ レンジャーズ2―1アストロズ

(8月12日 ヒューストン)
 惜しい!レンジャーズのダルビッシュ有投手(26)が12日(日本時間13日)、アストロズ戦に登板。6回2死まで完全、さらに8回1死まで無安打投球を続け、今季12勝目を挙げた。自己最多を更新する15三振を奪い、5回には両リーグ最速で今季通算200奪三振を達成。4月2日の今季初登板で、9回2死までパーフェクトピッチングを続けた敵地で、またも快投を演じた。

 突然のハプニングにも動じなかった。完全投球を続けていた6回2死。カウント2―2から9番・ビラーへの外角低めのスライダーは、決まったかに見えたが判定はボール。続く6球目も外れ四球。初めての走者を許した。収まらないのが捕手のピアジンスキー。5球目の判定を球審に抗議して退場処分となった。

 「“こいつ、何してんねん!”と思いました」。試合中に捕手が代われば投球のリズムに影響を与えかねない。それでも好投を続け、8回1死まで1本の安打も許さなかった。「1勝は1勝なので、とにかくチームを勝てるようにすることしか考えていなかったです」。大記録を逃した悔しさも、自己最多の15奪三振にも興味を示さず淡々と振り返った。

 初回から3者連続三振の滑り出し。5回、4番カーターに外角高めの92マイル(約148キロ)を振らせ、今季200奪三振に到達した。23試合目での200奪三振は、89年のノーラン・ライアンに並ぶ球団最速記録だ。三振は結局、207まで積み上げたが「何もないです。アウトの一つなので。確かに数は多いかもしれないですけど」とあくまでも冷静だった。

 フルカウントからの投球が、今季のこれまでの投球とは違った。前回登板までフルカウントは72回あったが、そのうち約3割にあたる21回は四球にしていた。だがこの日は、フルカウントまで9回いきながら、わずか1四球。「よく曲がってくれた」という宝刀スライダーを中心に6三振を奪った。「真ん中にスライダーを投げようとしか思っていなかった。置きにいきました」。豊富な球種を誇るが、この日は全投球の約96%が直球、スライダー、カーブ。そのわずか3種類で抑え込んだ。

 「自分のいい球を打たれることを求めて、こっちに来た。カブレラには凄い打球を打たれた。だから次はどうやって倒すか。そういうことがしたくて(米国に)来た」。5月16日のタイガース戦で昨季の3冠王と対戦した後、こう話したことがある。自分を凌駕(りょうが)する打者と勝負がしたい。アストロズは30球団最低勝率の・316で、スタメンにはメジャーデビュー3年目以下の若い選手が6人。好投にもかかわらず最後まで声のトーンが上がらなかったのは、やや物足りなさを感じていたのかもしれない。

 ▼レンジャーズ、ロン・ワシントン監督 相手が変化球を待っている時に直球を投げ、直球を待っている時は変化球を投げた。全てのボールをバランス良く投げた。

 ▼アストロズ・コーポラン(8回にチーム初安打となる右越えソロ)信じられないような投球をしていた投手から打てた。ちょうど腕が届くところにボールが来た。

 ▽ダルビッシュの4月2日アストロズ戦 今季初登板で8回2/3を1安打無失点で14奪三振。150キロ近いカットボール中心の配球で、初回に2者連続三振を奪うなど5回までに10三振を奪った。5回には強烈なライナーを一塁手モアランドが好捕するなど守備にも助けられ、8回2死まで完全投球。しかしあと1人という場面で、111球目を9番・ゴンザレスに中前打され交代した。

 ≪17度目2桁奪三振は球団歴代3位≫ダルビッシュが23試合目で200奪三振を達成。23試合目での到達は、レンジャーズでは89年のノーラン・ライアンと並ぶ球団最速記録。また、15奪三振はこれまでの自己最多記録を1つ更新。通算17度目の2桁奪三振は、ノーラン・ライアンの34回、ボビー・ウィットの24回に次ぎ球団歴代3位。

 ≪11年バーランダー以来≫記録専門会社エライアスによると、1シーズンに2度、8回以降にノーヒットノーランを破られたのは、球団では89年のライアンが5度記録して以来。大リーグ全体では、11年のジャスティン・バーランダー(タイガース)が2度破られて以来となった。

 ≪複数捕手で達成なら3度目だった≫ピアジンスキーが6回2死一塁で退場処分。代わってソトが捕手を務めた。もしダルビッシュがノーヒットノーランを達成していれば、1880年のラリー・コーコラン、1969年のケン・ホルツマン(ともにカブス)以来3度目となる、複数の捕手での達成という珍しい記録になっていた。

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