中田 右へ13年初球弾「軸回転」打法実践

[ 2013年2月8日 06:00 ]

紅白戦の2回無死、ソロ本塁打を放つ中田

日本ハム紅白戦

(2月7日 名護)
 侍二十八士へ強烈なデモ弾だ。3月のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に出場する侍ジャパン代表候補の日本ハム・中田翔内野手(23)は7日、沖縄・名護キャンプ初めての紅白戦に白組の4番で出場。2回、今季初打席の初球を右翼芝生席へ打ち込んだ。2日に侍ジャパン首脳陣による視察の際に指摘された右方向への打撃で、2013年の実戦1号。最終メンバー28人の生き残りへ最高のアピールとなった。

 力みはない。スムーズな軸回転。自然にバットからボールへパワーが伝わった。ダイヤモンドを回る中田は、両手に確かな感触を得ていた。

 「積極的に初球からいけた。しっかりと振り切った中で右へ持っていけて感触も良かった」

 今年初の実戦。その初打席の初球だった。左腕の斉藤が投じた外角高めの直球。「今までなら手が止まった」か、打ってもファウルになっていた球だ。それを完璧に捉え、しかも右へ。強い追い風もあったが、バットを振り切ったから推定120メートルも飛んだ。

 初ものづくしの今季1号は、侍ジャパン首脳から突きつけられた課題への回答だった。2日。山本監督ら首脳陣4人が視察に訪れ、立浪打撃コーチから軸足(右足)の使い方を指摘された。ステップする際、踏み出す左足と一緒に右膝も投手方向へ流れる。そのため重心を乗せた軸足から力が逃げていた。「タメができないから外の球は当てるだけで強い打球が打てない」という立浪コーチから約20分間のマンツーマン指導を受けた。

 軸足のタメは、中田が今キャンプで取り組むテーマでもある。昨季後半から左足を大きく上げたフォームに変更。「体重をしっかり軸足に乗せて軸回転で打つ」。確実性と飛距離を求めたフォーム。その問題点が浮き彫りになり、すぐ修正に取り組んだ。同じ侍ジャパン代表候補の稲葉からもアドバイスを受けた。3日には特打の後、なおも居残って稲葉の見守る中で素振りを繰り返した。

 中田は代表入りへ誰よりも熱い思いを抱く。意欲と情熱。それが課題の右方向への一発につながった。「風と狭い球場で参考外」と振り返りながらも、右膝は流れず、体重が乗った右足を軸に鋭く回転。「体が前に突っ込んだら、あのコースは打てない。(重心が)残っていたから、視野も広がって(外角球を引きつけて)バットの角度であっちへ打てた」。3打席目は変化球を引きつけて左翼線を破り、代表の2ポジション制を考えて左翼と一塁も守った。でも、狙った変化球を打ち損じた4回の遊ゴロを反省。居残り特打では、軸足を意識して94スイングで11本の柵越えを放った。

 最終メンバー入りをかけた宮崎合宿は15日から始まる。「宮崎でしっかりアピールしたい」。今年初のアーチは、世界への懸け橋となった。

 ▼日本ハム栗山監督(中田について)普通です。翔と岱鋼は一つ上に行ってもらわないと困る選手だから。逆方向に打てたのは特徴的だけど、昨年からこういうことをやってくれると思っている。

 ≪昨季24発で1本のみ≫中田(日)は昨季リーグ2位タイの24本塁打。うち右翼方向は6月27日楽天戦(東京ドーム)で8回ラズナーから放った1本だけ。通算でも51本塁打中、右中間を含め3本しかない。昨季パで20本塁打以上の打者は中田の他に3人いたが、右方向の本数は中村(西)が27本中3本、李大浩(イデホ)(オ)が24本中5本、ペーニャ(ソ)が21本中4本といずれも3本以上。中田が広角に打てれば初キングもグッと近づく。

続きを表示

2013年2月8日のニュース