不敵な栗山監督　２勝３敗は「最低ラインだけどシナリオ通り」

女子学生が見守る中、搭乗ゲートに向かう日本ハム・栗山監督

日本シリーズ

　指揮官がファイティングポーズを崩すわけにはいかない。日本ハム・栗山監督はどこまでも強気だった。

　「完全に追い込まれているけど、もともと２勝３敗で東京に戻るというイメージはあったからね。最低のラインだけどシナリオ通りに進んでいるから楽しみ」

　王手をかけられた状態で、残り試合を敵地で迎えることを想定内とした。だからこそ第６戦を全勢力を挙げて取りにいく。先発こそ左腕エースの武田勝が務めるが、宮西、増井、石井ら強力な救援陣は序盤から準備させて惜しみなく投入する。「勝ちパターンの投手を今まで以上に早く準備してもらう。きのう投げてなくて２日空くわけだし。　あと２日は連投してもらう」と投手陣の奮起で巨人打線を封じ込める。

　前日は危険球の判定をめぐってシーズン中でも見せなかった猛抗議で勝利への執念を見せた。一夜明けて「俺の責任。個人的には申し訳ないと思っている。変なしこりは残らない」と敗戦と抗議による試合中断への謝罪を口にした栗山監督。昨年１１月３日、球団から正式に監督就任を要請されて受諾した。あれから１年。全員野球、諦めない野球を掲げてがむしゃらにシーズンを駆け抜けてきた。就任と同時にナインに求めてきた「タフさ」を今こそ証明するときだ。

　「本当に集大成。追い込まれて一番タフな時に（選手が）何を見せてくれるのか。楽しみにしている」。何度も「楽しみ」という言葉を繰り返した指揮官に悲壮感はみじんもなかった。