ダル 球宴に大きく前進!ハーラートップタイ9勝目

[ 2012年6月22日 06:00 ]

<パドレス・レンジャーズ>3回、メジャー初安打となる右前打を放つレンジャーズのダルビッシュ

インターリーグ レンジャーズ4-2パドレス

(6月20日 サンディエゴ)
 レンジャーズのダルビッシュ有投手(25)が20日(日本時間21日)、パドレス戦で8回を5安打2失点でア・リーグ最多に並ぶ9勝目を挙げた。首脳陣に球数制限を課さないよう直訴、メジャー最多の122球の熱投で敵地での自身の連敗も4でストップ。また、3回にはメジャー初打席で右前打を放つおまけも付いた。これで7月10日(同11日)のオールスター戦(カンザスシティー)への出場にも大きく前進。次戦は10勝目を懸けて26日(同27日午前9時5分開始)に本拠地でのタイガース戦に登板する。

 3回を投げ終えて53球。ダルビッシュは三塁ベンチに戻ると、ロン・ワシントン監督、マイク・マダックス投手コーチに申し出た。

 「きょうは球数を考えないでほしい。降ろすなら投球内容で。9回でも、150球でも投げるから」

 21日がオフであること、さらに次回登板が中5日となること。そして、試合中に立て直せる自信もあったのだろう。志願の熱投でメジャー自己最多の122球。8回まで涼しい顔で投げ切った。

 「日本でも120、130球というのは当たり前。去年も9回に155(キロ)を投げていますし、自信はあった」

 その言葉通り、112球目となった7回、代打の主砲クエンティンにこの日最速の96マイル(約154キロ)のツーシームで遊ゴロ併殺に仕留めた。「体が温まって自分の思うように動けた」と最後まで球威は衰えず、変化球も生きた。スローカーブは66マイル(約106キロ)。2回に投手のバスに2点右前打されたが、50キロ近い緩急で3回以降に許した安打はわずか2。1~5番の上位打線は無安打に封じ込めた。

 ハーラートップタイの9勝目。この1勝は球宴出場へ向け価値ある白星となった。ファン投票のない投手にとって、球宴出場に大きな影響を与える選手間投票の用紙が全30球団の選手に22日(日本時間23日)に配布される。球団関係者は「ナ・リーグの選手は成績や話題性で選ぶ」と予想しており、ダルビッシュが上位に入るのは確実。7月1日(同2日)にファン投票、監督推薦、選手間投票によるメンバーが一斉発表されるが、そこにダルビッシュが名を連ねる可能性は極めて高い。

 魅せたのはマウンド上だけではない。メジャー初打席となった3回にはバットを折りながら外角の速球を右前にはじき返した。5回の二ゴロでもバットを折ったが、妥協することなくバットを振った。「打席は楽しんでできた。どれくらいの球を投げるのかと、興味はあった」。接戦でも、相手投手を探求する余裕もあった。

 09年のWBC2次ラウンド、韓国戦で敗戦投手となり、辛酸をなめたペトコ・パーク。あれから3年…。体も格段に大きくなり、精神力を磨き、経験も積んできた。「しっかり準備しなければ簡単にやられる。そのための準備を怠らないようにしたい」。深まる自信。それは言葉ではなく、結果で示していく。

 <ダルビッシュの09年WBCでのペトコ・パークでの登板>3月17日、2次ラウンドの韓国戦で先発し、初回に3安打1四球で3失点(自責2)。「飛んだコース、打球の弱さとかちょっと運がなかった」と振り返ったが、ボール球が先行して直球が多くなったところを痛打された。2回以降は立ち直り、5回を4安打3失点で降板。日本は1―4で敗れて敗戦投手となった。

 ≪球宴前に10勝は過去に2人だけ≫過去に日本人投手が球宴前に10勝に到達したのは02、04年ドジャース・石井一久(現西武)、07、08年レッドソックス・松坂大輔の2人で計4度。球宴前最多は02年石井の11勝。ダルビッシュはあと3度の先発が予定されているだけに、記録更新にも期待が掛かる。

 ≪日本では打率・139≫ダルビッシュの日本での打撃成績は36打数5安打(打率・139)で0本塁打、1打点だが、最近2年間に限れば9打数3安打(・333)。昨年5月25日中日戦(ナゴヤドーム)では2安打して自身初のマルチ安打を記録した。初安打はプロ2打席目の06年5月18日阪神戦(甲子園)での左前打で、唯一の長打が08年6月17日広島戦(広島)での右中間適時二塁打。

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