沖縄V腕対決…島袋、東浜に勝った!1―0完封

[ 2011年5月14日 06:00 ]

<中大・亜大>完封勝利を飾った中大・島袋(左)は飯田捕手と笑顔を見せる

東都大学野球リーグ第6週第2日 中大1―0亜大

(5月13日 神宮)
 2回戦2試合が行われ、第1試合では昨年の春夏甲子園で興南(沖縄)を連覇に導いた中大の1年生左腕、島袋洋奨(ようすけ)が、08年春に沖縄尚学でセンバツを制した亜大・東浜巨(なお)投手(3年)に1―0で投げ勝ってリーグ戦初勝利を完封で飾った。甲子園をわかせたトルネード左腕は、5試合目の先発となったマウンドで5安打、12三振を奪う力投で対戦成績を1勝1敗とした。また、国学院大も駒大に雪辱してタイとした。
【試合結果】

 最後は力でねじ伏せた。9回1死一、二塁。島袋は142キロの直球で連続三振を奪い、堂々の勝ち名乗りを受けた。

 「ようやく勝てました。長かった。嫌な記憶を思い出したけど、気持ちを切り替えた」

 4月21日の国学院大戦は、完封目前の9回1死から逆転サヨナラ負けを喫したが同じ轍(てつ)は踏まなかった。投げ合った相手が沖縄出身の2学年先輩、東都現役最多タイの20勝をマークしている憧れの東浜。「初勝利が亜大というのはうれしい。東浜さんと投げ合えて良かった」と満面の笑みで振り返った。

 デビュー戦から4戦勝ちなしの1年生左腕も、マウンドさばきは冷静だった。独特のトルネード投法から繰り出す直球は最速148キロも、この日は143キロ止まり。だが「直球が走ってない」と見るや序盤はツーシームやスライダーなど変化球を中心に低めへ集めた。終盤は直球を多投して配球パターンを変えて12奪三振と翻ろうした。

 春夏甲子園連覇の左腕はドラフト上位候補だったが、興南・我喜屋(がきや)優監督から「大学でしっかりやってからプロに行っても遅くない」とアドバイスを受けて進学を決断。ところが2月の宮崎キャンプは左肩の違和感を訴えて一時離脱。100球以上の投球練習を制限され、投げ込み不足の状態でリーグ戦に入らざるを得なかった。

 4月5日、駒大との開幕戦は高橋善正(現監督)以来48年ぶりの1年生開幕投手を務めたが、敗戦デビュー。駒大戦では大きなフォームを突かれて2戦で5盗塁を許した。サヨナラ負けした国学院大戦も9回に盗塁を許して失点につながった。それでも高橋監督は「夏までは自然体で放らせる」とあえて手を加えていない。この日は自ら考えて要所はクイック投球で盗塁を許さなかった。三塁を踏ませぬ完封劇で防御率は0・99。今秋ドラフト候補左腕の藤岡(東洋大)の1・09を抜いてリーグ2位に浮上した。

 「この勢いで今後もやっていきたい」と島袋。しゃく熱の甲子園をわかせたトルネード左腕が、力強く第一歩を踏み出した。

 ▼中大・高橋善正監督 とりあえず1つ勝ったから良かった。本人もだけど、俺にとっても良かったよ。きょうは1点取ったら勝てると思った。

 ▼オリックス・古屋英夫編成部国内グループ長 低めに丁寧に投げるクレバーな投球術はさすがだね。

 ◆島袋 洋奨(しまぶくろ・ようすけ)1992年(平4)10月24日、沖縄県宜野湾市生まれの18歳。志真志小2年時に志真志ドラゴンズで野球を始める。嘉数中から興南に進み1年夏からベンチ入り。高2の春夏も甲子園に出場したが、いずれも初戦で敗退。好きな選手はヤクルト・石川雅規。1メートル73、71キロ。左投げ左打ち。

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