ソフト岩崎、4年目で涙のプロ1勝「幸せです」

[ 2011年5月14日 06:00 ]

<ソ・西>岩崎はお立ち台で感極まり涙…

パ・リーグ ソフトバンク7-3西武

(5月13日 ヤフーD)
 ソフトバンク将来のエース候補と言われる男が、4年目でついにプロ初勝利を手にした。高卒1年目だった08年7月23日のオリックス戦(ヤフードーム)から数えて10度目の先発チャンス。お立ち台の岩崎はその感想を問われると、声が震え、目が潤んだ。

 「3年間勝てなかったのでうれしい。幸せです。(同学年に)活躍している人がたくさんいるので遅かったと思う。ただ、決して無駄ではなかったと思います」

 日本ハム・中田、ヤクルト・由規、ロッテ・唐川の「BIG3」と同期。スリムな体形からも当時エースだった「斉藤和巳2世」と言われたが、伸び悩んだ。転機となったのは、昨年12月のプエルトリコのウインター・リーグへの武者修行。所属チームの投手コーチから「ピンチでは腹の底から気持ちを出せ」と強気の投球を指導された。この試合も3回2死一、三塁で中島を内角141キロ直球で空振り三振に斬った。140キロ台後半の直球を武器に5回まで1安打無失点。6回に逆転を許したが、その後の2死三塁のピンチで浅村を仕留めたツーシームも現地で編み出した新球だった。直後に味方打線が一挙6得点で、初勝利をプレゼントしてくれた。

 09年オフには和田の自主トレの門を叩き、昨年は沢村賞2度獲得の斉藤リハビリ担当コーチの自主トレに同行した。偉大な先輩の後を追いかける右腕に、秋山監督も「前半はラッキーなところもあったけど、よく粘った」と合格点を与えた。最後は3万人を超える大観衆へ宣言した。「いずれは、ホークスのエースと言われるようになりたい」。4年目の21歳は端正なマスクをほころばせた。可能性を感じさせる大型右腕が、プロの第一歩をしるした。

 ◆岩崎 翔(いわさき・しょう)1989年(平元)10月21日、千葉県生まれの21歳。市船橋では3年夏の千葉大会準々決勝の鎌ケ谷戦で7回参考ながら無安打無得点。甲子園では初戦敗退も150キロをマークした。07年高校生ドラフトでは1巡目で中田(日本ハム)を外したソフトバンクが中日との競合の末に獲得。3年間は1軍で8試合に登板したが未勝利だった。1メートル88、75キロ。右投げ右打ち。

 ≪父も自宅で歓喜≫岩崎の父・司さん(64)は、千葉県船橋市内の自宅で息子の初勝利を見届けた。「テレビの前にかじりついていました。ダメかと思いましたが、野手のおかげです」。5日の楽天戦(ヤフードーム)後には電話で「(初登板だった)西武戦の方がよかったぞ」とアドバイスしたという。東日本大震災の影響で自宅の壁にはひび割れもあり、余震にも悩まされる中の明るい話題に「おめでとうの一言ですね」と司さんの声も弾んでいた。

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