イチロー2安打2盗塁で松井圧倒!「気持ちいい」

[ 2011年4月3日 06:00 ]

<アスレチックス・マリナーズ>1回、二盗を決めるイチロー

MLBア・リーグ マリナーズ6―2アスレチックス

(4月1日 オークランド)
 6年ぶりのマルチ発進だ!マリナーズのイチロー外野手(37)は1日(日本時間2日)、アスレチックスとの開幕戦に1番・右翼で出場し、6回の同点打を含む2安打1打点。開幕戦では自身初となる2盗塁を決めるなど機動力野球を体現し、無安打に終わった松井秀喜外野手(36)との日本人対決に先勝した。言葉ではなくプレーで日本を勇気づけることを誓った背番号51。11年連続200安打へ、幸先のいいスタートを切った。 
【試合結果】

 101敗(61勝)を喫した昨季から巻き返しを図るシーズン。逆転勝利に沸くクラブハウスで、イチローは独特の表現で開幕戦を振り返った。

 「体にこう、傷が入っていく感じが、始まったんだなという感じ。気持ちいい。スプリングトレーニングでは体に傷が入ったり、ユニホームが汚れるのも嫌ですけど。シーズンならいいね」

 37歳はユニホームを汚し、グラウンドを駆け回った。初回、四球を選ぶとすかさず二盗に成功。2点を追う3回は2死から三塁強襲安打を放ち、フィギンズが右前打で続くと、3番ブラッドリーへの3球目に重盗を決める。足で揺さぶられた昨季18勝のア軍先発ケーヒルはこの後、連続四球で押し出し。エリク・ウェッジ新監督が今季掲げる機動力野球をイチローが実践した場面だった。

 開幕前の下馬評は今季も地区最下位。今季のメンバーで昨季最多本塁打は新加入のオリボの14本と長打力が期待できない中で、いかにして得点するか。指揮官は「8、9番に小技のできる打者を置く。そして、イチロー、フィギンズの1、2番がいい働きをしてくれれば理想」と話す。キャンプでは盗塁、ヒットエンドラン、スクイズの練習に時間を割いた。

 イチローも指揮官の考えをくみ取っていた。6回には盗塁死があったが、4度の出塁で3回スタートを切った。「スタートが切れない、打席に入るのが怖いって言ったら、そこに立つ資格がない」。例年は打撃も盗塁も4月は「慣らし期間」と位置づける。しかし今季はリスク承知で走る必要性を身をもって示した。

 バットでも6回1死二塁から左前へ同点適時打。直後の盗塁死はフィギンズが勝ち越しソロで帳消しにしてくれた。「フィギには悪いけど誰も期待してないですから。ちょっとうれしかった」。昨季1本塁打の相棒の一発には、珍しくベンチでガッツポーズを見せた。

 この試合の2安打で、エドガー・マルティネスの持つ球団記録の2247安打に王手をかけたイチロー。開幕前日には、東日本大震災で苦しむ被災者を思い「今年は別の思いが入ってくる」と言った。阪神大震災が発生した95年も首位打者やMVPを獲得する活躍で、オリックスをリーグ優勝に導き、地元・神戸に勇気を与えた。言葉よりもプレーでメッセージを送る。イチローらしいシーズンの幕開けとなった。

 ≪日本人対決Tシャツ大売れ≫開幕カードでは初めて実現したイチロー対松井の日本人対決。オークランド・コロシアムの売店では両選手の写真をプリントした限定Tシャツ(28ドル=約2350円)が並び、日本人ファンを中心にあっという間に売れた。同球場は昨年、30球団中29位の観客動員だっただけに、店員は「2人は凄い人気だね。大好評だったよ」と笑いが止まらない様子だった。

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