記録ずくめの猛打爆発!日大三38年ぶり決勝

[ 2010年4月2日 06:00 ]

<日大三・広陵>8回裏1死満塁、横尾の適時打と敵失で生還した萩原(中央)ら日大三ナインは、そろってガッツポーズを決める

 第82回選抜高校野球大会第10日は1日、甲子園球場で準決勝が行われ、日大三(東京)が14―9で広陵(広島)を下し、準優勝した1972年以来、38年ぶりに決勝に進出した。1点リードを許していた日大三は雨脚の強くなった8回に大会タイ記録となる9打数連続安打など打者15人の猛攻で一挙10点を挙げて逆転。39年ぶり2度目の優勝に王手をかけた。準決勝第2試合の興南(沖縄)―大垣日大(岐阜)は雨のため中止となり、2日午後2時に順延となった。

【試合結果


 強まる雨の中で、三高打線に火が付いた。1点を追う8回に記録的猛打。攻撃を終え、ナインが振り返った視線の先のスコアボードには10が刻まれていた。
 「あれは選手の集中力。本当によくやってくれた」。小倉監督は手放しでナインを称えた。
 先頭・山崎の三塁内野安打が反撃の合図だった。1死一、二塁から根岸の投前へのバント(記録は安打)が悪送球を誘いまず同点。なおも二、三塁の好機に今大会初打席となった代打・清水が「ここで打ったら格好いいかなって。ずっと出番がなくてうずうずしていた」と2点右前適時打を放った。背番号17の伏兵の一撃にベンチはお祭り騒ぎ。その後も面白いように安打がつながり、9打数連続安打の大会タイ記録を樹立した。
 指揮官の決断が勝ち越し点となった。実は大会直前に18人目の選手を投手から第3捕手の加藤に変更していた。8回に送り出した代打・清水は、捕手の鈴木に代えての起用。「点を取らなければ勝てませんから。あそこは勝負です」。既に背番号2の大塚は退いており、ベンチに加藤がいなければ代打・清水という勝負手は打てなかった。
 4投手の継投、ベンチ入りメンバー18人中16人を起用する総力戦で雨中の決戦を制した。普段の練習から好球必打を徹底し、指示がなくても雨のグラウンドを見て選手が自ら転がす打撃を心掛けてきた。だからこそ、ナインはこう声をそろえた。「雨は練習試合でもよくある。珍しいことではない」。
 昨秋の東京大会は準決勝で帝京に敗れて4強止まり。今大会に選ばれるか微妙な状況だった。「春はないよ。夏を目指そう」。小倉監督はナインを前にそう話したこともある。前日のミーティングでは「あそこで選ばれてなかったら、ここにいないんだから」とも声を掛けた。今夏に向けた練習でバットを振り込んできただけに、「春は投手力」といわれる中でも強力打線で勝ち続けてきた。39年ぶりの栄冠へ、あと1勝だ。

 <山崎通算12安打!歴代1位にM1>4回2失点で降板したエースの山崎だったが、打撃では4打数4安打2打点と大暴れ。今大会通算安打数を12とし、95年に室岡(観音寺中央)が記録した13安打の大会記録にあと1本と迫った。「本当ですか?今、知りました。頑張らないと」と満面の笑み。父・章弘さんは元巨人の捕手で、兄・福之さん(現国学院大)も08年センバツで聖望学園(埼玉)のメンバーとして決勝に進出した野球一家。「ここまできて負けたくない」と気合を入れ直した。

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2010年4月2日のニュース