江藤“静かなる現役引退”…今後は指導者の道へ

[ 2009年10月2日 06:00 ]

 西武の江藤智内野手(39)が今季限りで現役を引退することが1日、分かった。江藤は広島、巨人、西武の3球団で歴代22位の364本塁打を放つなど、長打力でファンを魅了してきたが、今季はわずか20試合と出場機会が激減していた。今後は指導者になることが有力。引退試合は行わず、静かにプロ21年間の現役生活に幕を下ろす。

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 希代のアーチストが静かにバットを置く。2軍で調整中の江藤は「まだ何も言えません。時期が来たらお話しします」とだけ話したが、既に親しい関係者には引退する意向を伝えており、21年間の現役生活にピリオドを打つ決意を固めた。
 06年に巨人から西武に移籍してからは持病の右ひじ痛などもあり、思うような打撃ができなくなった。今季は右ひじにサポーターを巻き、主に代打で出場も、打率・128、0本塁打と結果を出せず、8月6日に出場選手登録を抹消された。2軍でも5試合のみの出場に終わり、9月下旬に球団から戦力外通告を受けた。かねて「40歳まで現役をやりたい」と口にしており、移籍先を探すことも考えたが、自らの引き際を決めた。
 球団からは引退試合の打診もあったが、チームはクライマックスシリーズ(CS)進出を争う大事な時期とあってこれを固辞した。イースタン・リーグの全日程終了後も昇格を目指して2軍の練習に参加。若手と汗を流してきた。江藤はこの日のロッテ戦(西武ドーム)後に行われたホーム最終戦セレモニーに出席。ファンに久々のユニホーム姿を披露した。
 江藤は広島入団5年目の93年に34本塁打で初の本塁打王を獲得。95年に39本塁打、106打点で2冠王に輝くと、99年オフにFA権を行使して巨人へ移籍。2度の日本一に大きく貢献した。渡辺監督も「現役時代に(江藤の母校の)関東高校の近くを通ったら1人だけ凄い打球を飛ばすヤツがいた。それが江藤だった」と当時の思い出を語ったこともある。
 昨年、西武が日本一に輝いた際には、積極的にアーリーワークに参加し、若手を指導する江藤を渡辺監督が“陰のMVP”と評価。チーム内でも的確な指導力で信頼を得ていた江藤は今後は指導者となることが有力だ。歴代22位の364本塁打を放った長距離砲は、今後は“第2の江藤”の育成に力を注ぐ。

 ◆江藤 智(えとう・あきら)1970年(昭45)4月15日、東京生まれの39歳。関東高(現聖徳学園)では捕手として高校通算61本塁打も甲子園出場はなし。88年ドラフト5位で広島入団。91年から内野手に転向。初の開幕スタメン。93年に頭角を現すと34本塁打で初の本塁打王。00年にFAで巨人移籍。同年最多勝利打点のタイトルを獲得、セ・リーグ優勝と日本一に貢献した。05年にFAで巨人入りした豊田の人的補償として西武移籍。主にDHや代打で活躍した。1メートル82、95キロ。右投げ右打ち。

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