智弁和歌山のミスター0!岡田13K完封

[ 2009年8月15日 06:00 ]

<滋賀学園・智弁和歌山>9回2死二塁、最後の打者・芥川を三振に切って取り2安打完封、ガッツポーズの智弁和歌山・岡田俊哉

 【智弁和歌山2―0滋賀学園】注目左腕は菊池だけじゃない――。「第91回全国高校野球選手権」第5日は14日、甲子園球場で行われ、第1試合では智弁和歌山(和歌山)の左腕エース岡田俊哉投手(3年)が滋賀学園を相手に2安打13奪三振で完封勝利。今秋ドラフト上位候補は自己最速となる144キロもマークして初戦を突破した。岡田は和歌山大会から4試合連続完封で今夏の連続無失点は41回1/3。チームを甲子園通算50勝に導き、高嶋仁監督(63)に甲子園通算57勝目をプレゼントした。

 4度目の“ベテラン”には風格すら漂っていた。マウンドの岡田はどこまでも冷静だった。初回、いきなり二塁打を許すなどして1死三塁。今夏初失点のピンチにも「本塁さえ踏ませなければいい」。ボールが先行すると焦っていた、これまでの姿はそこになかった。
 丁寧に低めを突きながら空振り三振、死球、空振り三振でピンチを脱出。2回以降は右打者の内角へ絶妙な制球。直球とスライダーのコンビネーションで援護はわずか2点だけだったが、ピンチらしいピンチはないまま圧巻の13奪三振。2安打完封劇だった。
 「自分の投球をするだけで精いっぱい。でも、完封というおまけがついたのはうれしいです」
 殊勝な言葉とは対照的に、憎いほど落ち着いていた。2回2死からは投手の棚上に対して「走者がいなかったので試してみようと思いました。ブルペンからアドレナリンが出ていたので」。思い切り腕を振ると144キロ。大舞台で自己最速を1キロ更新してみせた。
 初めて甲子園のマウンドを踏んだのは1年生の夏。2年間で身長は14センチ伸びて1メートル81。しかし、体、技術だけじゃなく“心”の成長が一番だった。「1年の時は周りが見えず、甲子園の独特の雰囲気に圧倒されて終わった。今は雰囲気を感じられるようになった」。マウンドから2年生の三塁・瀬戸には「おい、生きているか?」とジョークも飛ばして緊張を和らげた。「相手の力を考えながら投げていた。うまくカウント球で力を抜いていた」とは女房役の平野。昨夏準々決勝は球速にこだわって、静岡・常葉学園菊川に痛打された。今では変化球で打たせて取る投球を心掛け、和歌山大会から続く今夏連続無失点を41回1/3とした。
 「全力を尽くして1位をつかめればいい」と岡田。部屋で冷房はつけない。寝る時は長袖長ズボンで、布団はキッチリ肩までかける。体調管理は万全だ。9年ぶり頂点へぬかりはない。

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2009年8月15日のニュース