みんなコイした51年 さよなら広島市民球場

[ 2008年9月29日 06:00 ]

<広・ヤ>最終戦セレモニーでジェット風船を打ち上げる広島ナイン

 【広島6―3ヤクルト】広島市民球場が51年の歴史に幕を閉じた。レギュラーシーズンではラストゲームとなった28日、4番の栗原健太内野手(28)が同球場通算6469号となる21号2ランを放つなどしてヤクルトに快勝。3位をキープした。スタンドには05年の実数発表以来最多の3万609人が詰め掛け、中日とクライマックスシリーズ(CS)進出争いを激しく演じるチームを後押しした。

 20本以上の大漁旗が揺れた。「必ずここへ帰ってくる」「ありがとう」と書かれた真っ赤なボードで埋まった。広島市民球場ファイナルゲームにふさわしい一戦に誰もが酔いしれた。
 「寂しい思いはあるけど最後のホームランを打ててよかった。この球場でいいことも悪いこともあったけど、すべてプラスに考えてやってきた」
 数々の名勝負を生んできた“広島劇場”で最後の本塁打を放ったのが主砲・栗原だった。3―0の5回1死一塁。高めのボール気味の直球を、ビジター側でもほぼ赤一色の左翼席中段に叩き込んだ。02年9月5日の阪神戦、この球場で藤川からプロ初本塁打。新井が抜けた今季、赤ヘル軍団の4番に成長した男がしるした惜別の一発。自身今季99打点目。新井のロッカーを譲り受け、重圧と戦ってきた主砲がフィナーレを飾った。
 57年7月24日の阪神戦でこけら落とし。51年の歴史に幕を閉じる。36年間、右翼席で見守ってきた「全国広島東洋カープ私設応援団連盟」の新藤邦憲会長(60)は「市民球場は第2の故郷」と言えば、打席部分の土を記念に持ち帰ったブラウン監督は「私は母が亡くなったが、この球場は母のような存在。満員の球場は私の心の中にずっととどまっているだろう」と惜しんだ。
 この試合は3万609人を集めて今季入場者は球団史上2番目、実数発表となった05年以降では最多の139万680人を記録した。
 中日とのし烈な3位争いの向こうには悲願のCSが待っている。そしてその先には…。まだ、広島市民球場が盛り上がるチャンスはある。栗原は「チームには明確な目標があるし、それに向けてまとまっている」。市民もナインも思いは一つ。日本シリーズで興奮の再現を信じている。

 ≪“帰還”願い「ヤマト」合唱≫試合終了後のセレモニーでは6度のセ・リーグ制覇、3度の日本一をほうふつさせるチャンピオンフラッグ9枚がグラウンドに登場した。続いてナインが球場を1周しファンにあいさつした際には「宇宙戦艦ヤマト」のテーマ曲が流れ“必ずここへ帰ってくる”」のフレーズの合唱で日本シリーズでの“帰還”を祈願した。最後は球場全体で「それ行けカープ」を大合唱。感動のフィナーレとなった。

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2008年9月29日のニュース